取材・文/沢木文

「女の友情はハムより薄い」などと言われている。恋愛すれば恋人を、結婚すれば夫を、出産すれば我が子を優先し、友人は二の次、三の次になることが多々あるからだろう。それに、結婚、出産、専業主婦、独身、キャリアなど環境によって価値観も変わる。ここでは、感覚がズレているのに、友人関係を維持しようとした人の話を紹介していく。

2021年7月大阪で資産家女性(享年・54歳)が亡くなった。彼女は死亡前に総額1億5000万円の生命保険に加入し、その受け取り人は死亡の5カ月前に養子縁組をした男(28歳)だった。その後、男は女性を殺害した容疑で逮捕される。しかし、2022年9月、男は留置所内で自殺を図り搬送先の病院で死亡が確認された。

資産家女性と男との間には何があったかわからない。捜査中に容疑者が死亡し、真相は闇に葬られてしまったからだ。

「この事件を聞いて、私の親友・桂子(61歳)のことが心配になりました。彼女の家には怪しい男が出入りしているんです」と語るのは、礼子さん(61歳)だ。

退社時に男性社員が待ち伏せする美貌の親友

礼子さんと親友・桂子さん(61歳)は30年以上の付き合いになる。親しくなったきっかけは、2人が60歳の定年まで勤務していた会社の編み物サークル。2人は年齢こそ同じだが、礼子さんは4大卒、桂子さんは短大卒で、サークルに入るまで面識はなかった。

「あの頃は“社員は同じ釜の飯を食う家族”みたいな雰囲気がありました。私と桂子が勤務していた会社は特にその傾向が強かったと思います。社員はテニス、ジョギング、ゴルフ、華道など何らかのサークルに入っていました。私も桂子も男性と体を動かすことが苦手だったので、編み物サークルに入ったんです」

サークルの活動の場は、会社の会議室。そこに月1回、講師が来て、編み物のやり方を教えてくれていたという。

桂子さんは顔立ちが整っていて、背も高く派手に見える容姿をしており、男子社員から人気があった。当時の言葉で”職場の華”という存在だった。しかし、性格は見た目とは真逆で、陰気で自分の意見が伝えられず相手の言いなりになってしまうところがあったという。

「編み物サークルが終わるのが20時くらい。会社の通用口で桂子を待ち伏せしていた男性社員がいたんです。桂子が断ると、男は“君のために待ってあげたんだから、食事くらい付き合え”と言っていたんです」

そこで、礼子さんが「桂子はアンタに“待ってろ”って言ったの?」と質問するとすごすごと退散したという。

「あれで意気投合したんです。毎週のように一緒に帰り、お互いの家に泊まり合ったりして楽しかった。週に1回会うと、気心が知れる。仕事のことや親のことも話し合えるかけがえのない親友なんです」

【親友は20年間の不倫を隠していた……次のページに続きます】

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