取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げていく。【~その1~はコチラ

今回お話を伺った愛莉さん(仮名・40歳)は28歳のときに結婚。結婚時には「こんな面倒くさがりの息子をもらってくれて」と喜んでくれた義母が急逝し、義母を介した交流しかなかった義父は一人になった。

「私たちは東京、義両親は都内寄りの埼玉で暮らしていて、電車では40分ほどの距離だったのに、年に1、2度の交流しかなかったんです。その少ない交流のときにも義母が中心になって義父の意志をくみ取って私たちに伝えてくれるような感じでした。義父は無口な人で、何かを主張してくることもなかったんです」

レンジの使い方さえままならない。義父の生活力はゼロだった

同居を拒否してきた義父だったが、様子を見に行かないわけにはいかず、最初の頃は週末の度に夫婦で義実家に顔を出していた。

「歓迎してくれるわけでもなく、義父はソファのいつもの場所に座ってテレビを見ているだけです。ちょっとイラっとしても、義母の定位置だった場所を空けているところなんてみると、言い方は正しいのかはわかりませんが同情してしまって。私たちができるだけのことをしなければって思っていました」

やっていたのは掃除や食事の用意など、義母がやっていたであろう家事全般。愛莉さんだけに任すのではなく夫と協力してやっていたという。

「義父は美味しいとも不味いとも言わずに黙々と食べるだけですけど、残さなかったので美味しいとは思ってくれていたんじゃないかなって思います」

愛莉さん夫婦が食事の世話をできるのは週末分と少しの作り置き程度。なぜそこまで食事の世話をしないといけないかというと、義父は調味料の場所はもちろん、電子レンジの使い方さえままならない状態だったからだ。

「平日の食事については総菜などを適当に買っていると言っていたので、私たちが負担して週に数回、高齢者向けの宅配弁当を頼むことにしたんです。総菜やコンビニのお弁当よりは栄養も偏らずにいいかなって思って。しかし、それが気に食わなかったみたいですね」

【よかれと思った宅配弁当がきっかけに 次ページに続きます】

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