最近テレビや新聞などの報道で、「円安」や「円高」についての話題が多く取り上げられ、みなさんの関心も高まってきているのではないでしょうか?「円安」や「円高」の影響はどのようなものなのか。今回は「円安」が、個人の生活や企業活動にどのような影響をもたらすのか詳しく見ていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
円安は生活にどう影響する?
円安は企業にどう影響する?
円安で儲かる企業はある?
まとめ
円安は生活にどう影響する?
外国為替の取引は、異なる国の通貨同士で行います。普段、国内で日本円のみで生活している場合は、海外旅行や海外のネットショップから直接商品を購入する以外に、個人で他国の通貨と交換する機会はあまりありません。
他国の通貨と交換する機会がない方は、外国為替のレートを毎日のように気にして暮らす必要はないと思われるかもしれません。しかしながら、為替の動きは私たちの生活に大きな影響を与えているのです。
「円安」による生活への影響
物価の変動は、様々な要因によって影響を受けますが、「円安」も物価に影響します。例えば、食料品を輸入するとします。<図表1>のように円安が進むと、同じ商品の価格が上がります。仕入れ業者はコスト高となり、販売する商品の価格に転嫁せざるを得ないケースも出てくるでしょう。
<図表1 円安の影響のイメージ>
日本は食料品や衣服のみならず、原油や石炭などのエネルギー資源、日本で製品を製造加工するための原材料など、多岐にわたって輸入に頼っているのが現状です。そのため、上記の例のように円安によるコスト高が進むと、物価上昇の要因の一つとなり得るのです。
昨年(2022年)からの物価上昇は、円安が進んでいることが要因の一つと考えることが出来ます。円安だけが要因というわけではありませんが、生活必需品などの価格の上昇は私たちの生活に大きく影響を及ぼしますので、「円安」はメディアで大きく取り上げられているのです。
影響はマイナス面ばかりではありません。外国の通貨で資産を保有していると、円に換算した資産価格は値上がりするので、円安が好影響となるでしょう。外国株式や外国債券に投資する投資信託を保有している場合も同様です。
円安は企業にどう影響する?
次に、円安は企業にどのような影響を及ぼすのかについて見ていきましょう。主に海外へ輸出をしている企業にとっては、円安が進むと海外で製品を売ることで得た外貨を、より多く円に交換することができる点がメリットです。
同じ量の製品を輸出しても、売上は円安が進むほど増えることになるため、業績にも好影響となり得るのです。主な業種としては、輸送用機械器具製造業、業務用機械器具製造業、情報通信機械器具製造業などで、製品を海外に輸出販売している業種には円安が好影響となります。
一方で、主に海外から製品や原材料を輸入している企業にとってはデメリットとなります。それは、同じ量を輸入しても、円安が進むことで交換する外貨が高くなり、支払う代金も高くなってしまうからです。主な業種としては、繊維・衣服等卸売業、繊維・衣服・身の回り品小売業、食料品製造など。海外から製品や原材料を輸入している業種には、円安が悪影響となります。
<図表2 「円安・円高」の「輸出・輸入」への影響>
実際に、2022年1月の為替レートは1ドル=115円前後でしたが、円安基調となり10月に1ドル=150円を超えたことは記憶に新しいところかと思います。
海外へ製品を輸出している大手企業の中には、最高益を更新した企業もあり業績に好影響となりましたが、海外からの製品や原材料の輸入に頼っている企業では、価格の高騰に頭を悩ませることになっています。
円安で儲かる企業はある?
前述の通り、主に海外へ輸出している企業にとって円安は、利益の拡大につながり業績への好影響となるでしょう。製造拠点を海外へ移転して、原材料費や人件費などのコストを削減しつつ、海外で製造販売するなど、円安による輸入のデメリットを抑えている企業は、円安の影響を受けにくくなります。
日本国内で製品を製造して輸出する場合でも、原材料をすべて国内で調達している企業は円安による輸入のデメリットはありません。これらの企業は、円安が進むほどより多くの利益につながることでしょう。
円安によって利益の拡大につながるのは、輸出関連の企業だけではありません。外国為替は異なる通貨同士が相対的な関係にあるため、海外旅行をする日本人にとって円高がメリットであることと同じように、海外から日本へ旅行にくる人にとっては円安がメリットとなります。
例えば、1ドル=100円から1ドル=150円となれば、米国からの観光客にとっては円安が進むことでより多くの日本円と交換することが出来ます。つまり、自国の通貨を基準に考えれば、日本へ来て安くものを購入したり、安くサービスを受けたりすることができるのです。
このことから海外からの観光客が増えることを期待できます。ホテルや旅館などの観光業を営む企業や、観光客の多い施設や店舗を営む企業にも業績への好影響となるでしょう。
まとめ
今回は「円安」が及ぼす影響について解説いたしましたが、いかがだったでしょうか? 為替の動きは私たちの暮らしや企業活動などに、様々な影響を及ぼしています。物価や企業の業績などが為替の動きによってどのように変動するのか。様々な視点で注視していくと良いでしょう。
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●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)
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