最近、「円安の影響により……」といった報道を耳にする機会が増えていると思いませんか? 「円安」や「円高」は耳慣れた言葉ではありますが、円安と円高とはそもそも何なのでしょうか? そして、円安と円高はどうして起こるのでしょうか。今回は、「円安と円高」について基本的なことをおさらいしていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
円安と円高とは
円安や円高はなぜ起こる?
海外旅行では円安・円高どちらが得?
まとめ
円安と円高とは
まずは「円安と円高」とは何なのか、基本的なことから見ていきましょう。「円安と円高」は、外国為替の取引で使われている言葉です。外国の通貨に対して「円」の価値が、ある時に比べて安くなっている状態を「円安」。逆に、ある時に比べて高くなっている状態を「円高」と言います。
一般的に、メディアで使われている「円安と円高」は、アメリカのドルに対しての「円」の価値です。テレビやネットニュースで報道される「円安と円高」は、米ドルに対する「円」の価値が安くなっているのか、高くなっているのかを表しています。
「米ドル」の他にも、「ユーロ」「ポンド」「豪ドル」など、様々な国の通貨との間でも「円安」「円高」という表現が使用されています。
次に、具体的な「円安と円高」の状態について解説します。
ここではわかりやすく、「米ドル」との取引においての「円安と円高」を考えていきましょう。「円安ドル高」とは、1ドルに対しての円の価値が下がった状態を指します。例えば、ある日のニュースで「1ドル=140円」というように、その時点での取引されている額が報道されます。次の日「1ドル=142円」であれば、前日に比べて2円「円安」になっているということです。
<図表1>円安(ドル高)の例
このように、いくらからが「円安」や「円高」となるといった基準はありません。ある時点と比較して、「円安」なのか「円高」なのかを見ているのです。勘違いしがちなのは、1ドルが140円から142円になると、数字が増えるので「円高」なのではないかというところです。
あくまでも円の価値が下がっているのか、上がっているのかという視点で考えますので、1ドルを日本円で買うというケースで考えると、1ドルを買うために140円支払えば買えたのに、次の日には142円支払わなければ1ドルを買うことが出来ません。
1ドルが前日よりも2円高くなっている、つまりドルの価値が高くなり円の価値が下がったので、「円安(ドル高)」ということになります。反対に「1ドル=140円」が「1ドル=135円」となれば5円安くドルを買うことが出来ます。つまり、ドルが安くなり円が高くなっている、「円高(ドル安)」となるのです。
円安や円高はなぜ起こる?
ここでは、円高や円安がなぜ起こるのかその仕組みについて説明します。
外国為替の取引は変動相場制です。為替レートは日々変動していますが、基本的には異なる通貨同士の需要と供給のバランスによって変動します。ここでもドルを例として考えますが、ドルを売って円を買いたい人が多ければ、円の価値が相対的に高まり「円高」となります。反対に、円を売ってドルを買いたい人が多くなれば「円安」となります。
実際には、需要と供給のバランスが変わる原因として様々な要因が複雑に影響しています。
2022年の出来事を振り返ってみてみると、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が、急激に進んだインフレを抑えるために利上げ政策をとりましたね。10月には一気に1ドル=150円までドル高が進み、30年ぶりの円安となったことは記憶に新しいところです。
これは、金利の高いドルの需要が増えたことが原因となっています。この急激な円安に対して、日本政府・日銀は為替介入を行い144円台まで円高に戻しました。為替の介入とは、中央銀行が外国為替市場で通貨売買を行うこと。このケースでは、ドルを売って円を買い一時的に円の需要を高めることで、円高に振れさせるということを行ったのです。
このように、通貨の需要と供給のバランスによって「円安」となったり「円高」となったりするのです。
海外旅行では円安・円高どちらが得?
普段の生活で外国との商品取引などがない場合、円安や円高について意識することは少ないかもしれません。しかし、海外旅行に行く場合は実際に外貨を使用することになります。海外旅行に行き、現地で食事をしたり電車やバスに乗ったり、お土産を購入するなどお金を支払う際には、当然訪れた国の通貨で支払いますので、その国の通貨に交換する必要があります。
では海外旅行に行く際には、円高基調にある時と円安基調にある時、どちらが得になるのでしょうか? 例えば、為替レートが「1ドル=125円」の時と「1ドル=100円」の時では、「1ドル=100円」の時の方が円高です。旅行の予算を100万円とすると、「1ドル=125円」の時は8,000ドルと交換できますが、「1ドル=100円」の時は10,000ドルと交換できます。
つまり、円高の方が現地で使えるお金が多くなるので、海外旅行で現地の通貨に交換する際には円高であればあるほど得であると言えるでしょう。旅行先でクレジットカードを利用する際も、為替レートで円に換算され請求されますので、現金と同じように円高であればあるほど有利であると言えます。
まとめ
今回は、「円安と円高」について基本的な知識のおさらいをいたしましたが、いかがだったでしょうか? 海外旅行の他にも、自分の資産をリスク分散させるために外貨を持ったり、あるいは外貨建ての金融商品や保険商品を持つことが考えられます。外貨を持つには「円」を外貨に交換しますので、円安と円高の仕組みなど基本的な知識を身に着けておくと良いでしょう。
資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行われています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか?
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●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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