iDeCoは、個人型確定拠出年金として老後の資金作りに大きく役立つ制度ですが、始める際には手数料についても把握しておく必要があります。iDeCoには様々な手数料があるので、「手数料が引かれたおかげで思っていたよりも収益が少ない」などということがないように、しっかりと手数料についても把握しておきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
iDeCoの手数料はいつかかる?
iDeCoの手数料の種類とは
金融機関別の手数料
まとめ
iDeCoの手数料はいつかかる?
はじめに、iDeCoの手数料はどのようなときにかかるのかを見ていきましょう。iDeCoを利用する際の手数料は、次の4つのときにかかります。
・iDeCoに加入・移換するとき
・iDeCoで運用している間
・給付を受けるとき
・還付の必要があるとき
上記のうち、「iDeCoに加入・移換するとき」「給付を受けるとき」「還付の必要があるとき」の手数料は、それぞれその都度かかります。
なかでも給付を年金で受け取る場合は、その都度手数料がかかってきます。一時金か年金かを選択する際には、所得税の所得控除の効果を比較してみましょう。もし、その差がほとんどないときは、給付を受けるときの手数料が一度だけで済む一時金を選択する、というような判断も考慮に入れると良いでしょう。
「iDeCoで運用している間」の手数料もいくつか種類がありますが、運用している間毎月必ず支払うものと月々の掛金を拠出するたびにかかるものがあります。手数料は少額なので気にしないという方もいるかもしれませんが、手数料の支払いは必ず発生するので、リターン(収益)を得ても、手数料を支払うことで積立てた資産が元本割れするケースも。
商品選びの際には、手数料を差し引いた後の収益がどのくらい期待できるのかも見ておくことが、大きなポイントとなるでしょう。
iDeCoの手数料の種類とは
次に、iDeCoの手数料の種類とその内容について詳しく見ていきましょう。
【加入・移換時手数料】
iDeCoに加入するとき、または企業型確定拠出年金から移換するときにかかる手数料で、初回のみ支払います。国民年金基金連合会に2,829円支払います。(2022年9月現在)
【口座管理手数料】
iDeCoに加入している間かかる手数料には、以下の3つがあります。
1.事務手数料
掛金を拠出する際に毎月控除されます。国民年金基金連合会に支払う手数料で、月に105円支払います。
2. 資産管理手数料
口座を保有している間、毎月必ず控除されます。信託銀行に支払う手数料で、月に66円支払います。
3.運営管理機関手数料
運営管理機関(取扱金融機関)に支払う手数料です。運用・運営に関する手数料で、取扱金融機関によってその額は異なります。最近は、運営管理機関手数料を無料としている金融機関も増えてきていますね。金額の目安としては、無料から400円を超える場合もあるようなので、加入時に確認するとよいでしょう。
【給付手数料】
iDeCoで積立てた資金を受け取る際の手数料は、毎回440円かかります。資産管理会社である信託銀行に支払われます。
【還付手数料】
還付とは、掛金の限度額を超えて拠出したり、加入資格のない月に拠出したりした場合の掛金などを、加入者に返金することです。例えば、次のようなケースが想定されます。
・国民年金保険料が未納であるのに拠出されていた。
・勤め先の企業型確定拠出年金の事業主拠出金額が引き上げられたため、iDeCoの拠出限度額を超える掛金が拠出されていた。
還付の際にはその都度、国民年金基金連合会に1,048円、信託銀行に440円。合計1,488円手数料がかかります。この他に、投資信託で運用する場合に信託報酬という手数料がかかります。
【信託報酬】
投資信託の運用・管理をするための手数料で、投資信託を保有している間は生じます。信託報酬は、保有する信託財産に対して一定の手数料率(%)がかけられて計算され、日々の基準価格が計算される前に信託財産から差し引かれます。
信託報酬は商品によって異なり、手数料率は低いものは0.1%(年率)を下回るものもあれば、2%(年率)を超えるものもあります。かなり幅がありますので、商品を選ぶ際には必ず確認をする必要があります。以上のように、iDeCoの手数料は多岐にわたります。それぞれ、どんなタイミングでいくらかかるのかを把握しておくとよいでしょう。
金融機関別の手数料
加入する金融機関によって、金額が異なる手数料があります。金融機関選びのポイントの一つとなりますので、ここでは金融機関別の手数料について具体的に見ていきましょう。
以下の表は、2022年9月7日時点で主な金融機関のホームページに記載されている、加入時の手数料と口座管理手数料をまとめたものです。
表では、銀行や保険会社の月々にかかる手数料は、証券会社の手数料より比較的高めであるケースが多いことがわかります。金融機関によって金額は異なりますので、取扱金融機関を選ぶ際にはホームページで確認するか、窓口担当者に確認することが必要です。
まとめ
今回は、iDeCoの手数料がかかるタイミングや種類について詳しく見てきましたが、いかがだったでしょうか? iDeCoを利用して老後の資金作りをスタートするときに、取扱金融機関や具体的な投資信託等の商品を選択するなかで、iDeCoにかかる手数料について知っておくことはとても重要です。
どの金融機関でiDeCoを開始するか、また、どの投資信託などの運用商品を選べばよいのか、自分自身で最適な選択をすることが難しい場合には、専門家であるファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。 商品販売をしない中立的なファイナンシャルプランナーは、相談者の立場に立って最適な方法を考えてくれます。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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