出生率低下問題が連日報道されており、コロナ禍が妊娠や出産に何らかの影響を与えたのではないかと考えられている。厚生労働省は2019~2021年までの「県別」の人工妊娠中絶数の状況をまとめたデータを発表。「女性(15-49歳)人口10万当たりの中絶数」が突出して多かったのは、東京都や大阪府のほかに、福岡県、熊本県、宮崎県など九州地方の都道府県だった。

今回の依頼者は、開業医の太朗さん(59歳)。「娘(20歳)が何をしているか真実を教えてほしい」と地方都市から山村さんのもとに来た。

2年前に熟年離婚した妻と住む娘

太朗さんは「いかにも開業医」というきちんとした雰囲気の男性です。恰幅がよく、全身に自信があふれている。声が大きく迫力も十分。アメリカのトラッドブランドのシャツ、ジャケット、チノパンはシルバーグレーのヘアスタイルによく似合います。

「相談というのは一人娘のことなのです。この子は母親に似て、ボーッとしているのですが、優しい子。私の家族のことはちょっと複雑で、お恥ずかしいことも多いのですが、お話します」

太朗さんは東京から700キロほど離れた地方都市で生まれ育ちました。代々、医師の家に生まれ、東京の医大に進学し、卒業後、研修医を経て父の病院を継ぎます。医大時代から「医師の妻は医師であるべきだ」と思っており、同級生の医師と将来を誓います。

東京を離れた後は、彼女と遠距離恋愛をしていましたが、お互いが30歳を超え、実際に結婚するという段階になり、太朗さんの両親に挨拶。すると彼女は「そんな田舎で生活できない。私は嫁なんかになりたくない」と婚約はご破算に。

「それならばと、その他の医師の女性と見合いをしていたのですが、どの女性もウチの両親と会わせると、絶対に無理と断られてしまうんです」

太朗さんの地元は、「家」という意識が強い地域です。「嫁は家のために家事も育児も介護もやれ」「この家の嫁にしてあげたんだから、ありがたく思え」という意識が強く、そこに女性は何らかの拒絶反応を起こしてしまうのでしょう。

「まさにその通りなんです。そんなときに学会で東京に行き、コンパニオンをしていた元妻と出会い結婚。私は38歳、妻は30歳でした。妻は本当に危なっかしい人で、嫁に来てから僕と母でウチの作法をしつけたのですがダメでした。どれだけ叱っても同じことをする。ボーッとしているところも治せませんでした。別居もしていたのですが、妻から“もう限界です”と言われ、娘の高校卒業を機に離婚をしたのです」

結婚生活は19年だったそうです。その後、妻は相応の財産分与分を受け取り、娘とともに東京の実家に帰りました。

「妻はスピリチュアルが好きで、娘の進学先、引っ越しの日程まですべてその人に決めてもらっていたんです。僕は理系だから、そういうことも耐えられなかった」

夫婦関係がこじれている人に多いのは、占い師やスピリチュアルへの依存です。精神的に弱っており、ストレスがかかっているから、日々の決断がおっくうになるのでしょう。

【元彼女から「あなたの娘じゃないの?」と連絡が……次のページに続きます】

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