出生率低下問題が連日報道されており、コロナ禍が妊娠や出産に何らかの影響を与えたのではないかと考えられている。厚生労働省は2019~2021年までの「県別」の人工妊娠中絶数の状況をまとめたデータを発表。「女性(15-49歳)人口10万当たりの中絶数」が突出して多かったのは、東京都や大阪府のほかに、福岡県、熊本県、宮崎県など九州地方の都道府県が目立っていた。

今回の依頼者は、開業医の太朗さん(59歳)。調査対象は2年前に離婚し元妻(51歳)と東京で暮らす娘(20歳)だ。娘は太朗さんの医大時代の同級生が営むクリニックで、複数の性感染症に罹患していることが判明。珍しい苗字のために、同級生が太朗さんに連絡をした。親として心配になった太朗さんは、山村さんに娘の素行調査を依頼する。

【それまでの経緯は前編で】

足の踏み場もないような汚部屋

太朗さんの元妻と娘が暮らす家は、23区郊外にある中古の分譲マンションです。80年代建てられた物件であり、外階段でセキュリティはゆるいです。

聞き込み調査をすると、親子は問題がある住人のようでした。ゴミ出しのルールは守らない、夜中にヒールの音を響かせて帰宅する、音もれや絶叫がうるさいなどなど。

ある女性は「通りがかりにチラッと中が見えたんだけど、足の踏み場もない汚部屋よ。あれは虫がわいていると思う」と語っていたのです。

1日目は全く動きなし、2日目に入ります。すると、昼12時にオーバーサイズのコートを着て、ツインテールをくるくるに巻いた娘が出てきました。かなり細く、食事を摂っているのか心配になってしまいました。プラットフォームの靴をカツカツと鳴らして、駅まで向かいます。

渋谷駅で降り、知り合いらしき女性2名を見かけると、「キャー」と大きな声で叫び喜び合い、手をつなぎながら商業ビル内に入っていきました。

地下の会場では、若手俳優数名のミニコンサートと簡易撮影会が行われていました。CDとカレンダーなどの発売記念イベントで、先行予約をした人はその人たちと至近距離で触れ合えるというものです。

張り紙を見ていると、ツーショットのポラロイドが1枚5000円程度、それよりも高額な動画撮影、ハグ、壁ドンなど、さまざまなサービスがあるようです。

娘はその俳優のひとりが好きなようで、何度も列に並び直して、お金を払ってサービスを受けていました。俳優も娘とは顔見知りのようで、親しげにしていました。

イベントは夕方には終わり、娘はひとりでコーヒースタンドに行き、かなり冷たく甘く、生クリームたっぷりの氷のドリンクを注文。

その間にLINEでやり取りをしています。その画面を見ると、明らかに水商売の営業。「〇〇さんの顔が見たい」「会えなくてさみしいな」などと送っていました。このカフェには3時間程度おり、スマホをいじった後に1時間程度昼寝をしていました。

【夜の仕事はかなりハードだった……次のページに続きます】

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