写真はイメージです

日本の新型コロナウイルスの感染者の累計は3290万人(厚生労働省2月10日現在)を超えた。無自覚感染者も含めると、さらにこの数は多くなるだろう。

コロナ発生から3年余りが経ち、政府は、新型コロナウイルスの感染法上の分類を2023年5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げると決めた。

そんな今、問題になっているのは、コロナの後遺症だ。認知障害、血栓、心機能低下、糖尿病などが報告されている。 

今回の依頼者は、メーカー勤務の美波さん(40歳)だ。「70歳の父が、コロナに感染し、復帰後1年あたりから様子がおかしくなったんです」と、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんのもとに訪れた。

父が、新型コロナウイルスに感染した

美波さんは「いかにも上品なご婦人」という言葉がピタリと合う女性です。シワひとつないグレーのカシミアのコート、ウールのワンピース、黒のレザーのバッグ……どれも手入れが行き届いていて、とても美しい。

「今回、相談に乗っていただきたいのは、父のことなんです。父は代々受け継いだ会社を経営しており、とにかく堅い人なんです。曲がったことが嫌いで、非常に生真面目。絶対に法律は守り、周囲に人がいなくても、赤信号は絶対に渡りません」

100年以上続いている会社を守るには、瑕疵がない生きざまが大切なのだと語っているそう。

「父は幼い頃はお屋敷暮らしで、10人以上のお手伝いさんがいたようです。家でも常に人の目があるから、くつろいだところなどを見せないよう教育されていたんでしょうね。私にも兄にもその教育を徹底しており、兄はそれを嫌がって、今はアメリカにいます」

母も維新以来の名家の出身で、「似たもの夫婦」だといいます。

「時代は変わり、以前のように生活を人任せにするような暮らしもできません。私は大学卒業後、今の会社で働いています。私は男性が苦手でしたが……父はこんな私以上に堅物だったのです」

変化があったのは2年前。新型コロナウイルスに感染したこと。

「父はコロナを本気で恐れており、“従業員の手前、絶対に感染できない”と家にこもっていたんです。どうしても外出しなければならないときは、自家用車でした。そこまで対策していたのにもかかわらずあるとき感染してしまい、集中治療室まで入りました」

呼吸不全になり、人工呼吸器・エクモによる治療がされ、一時期は命も危なかったが、生還しました。

「20日くらい入院し、体重も10キロ近く落ちていました。肺がかなりやられてしまい、しばらく鼻から酸素チューブをしていたんです。でも、何はともあれ、生還して本当に良かった。あれだけ体内酸素が減ると、大変なんだと思いました」

【回復に1年ほどかかり、父は別人のようになってしまった……次のページに続きます】

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