取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺ったゆかりさん(仮名・36歳)はストレスからなのか、衛生的なものからなのか義実家と交流するようになってから慢性的な腰痛と湿疹に悩まされていた。

「義実家と交流するようになってから、腰や肩は痛み、肌もシャワーがしみてしまう状態でした。そんな私を見ても、義母は市販薬をくれるだけで、決して休ませてはくれませんでした」

母親のように完璧に家事をこなす専業主婦になりたかった

ゆかりさんは兵庫県出身で、両親のいる3人家族。両親はなかなか子どもを授からず、高齢でできた初めての子ということもあり、過保護気味に育ったという。

「母親は専業主婦で家事を完璧にこなす人でした。私には台所でケガをしてはいけないと包丁を持たせてもらえず、火を使う料理も学校を卒業するまで作らせてもらえなかったほど。

他にも母親は潔癖で、家は常にピカピカ。実家にいる間は掃除を意識したことなんてありませんでした。今なら家事を何もできないまま大きくなった自分に違和感があるのですが、あの頃はしないことが普通だったから何も思わなかった。私は結婚するまで実家暮らしだったので、結婚してイチから家事を覚えた感じです」

ゆかりさんが結婚したのは31歳のとき。完璧な専業主婦だった母親を見てきたからか、ゆかりさんは結婚後は当然のように専業主婦になるつもりだった。

「夫との出会いは婚活パーティーです。企業が主催しているものに友人と参加して、意気投合して。お互いその場ではカップルにならなかったんですが、帰りに下で待たれていて連絡先を交換したところから始まりました。

付き合うときから結婚前提でしたし、ちゃんとしたプロポーズまでは1年ほどでしたが、その前から新居のこととかを色々話し合っていたので、実際はプロポーズを受ける1か月前くらいから退職の意思を会社には伝えていました。ずっと実家暮らしで貯金もそこそこあったので、結婚までの多少の無職期間ならなんとかなるだろうと思って」

そして結婚が決まったと同時に仕事を勝手にやめてしまう。ところが、そのことで一度結婚が白紙に戻ってしまいそうになったとか。

「私は結婚したら当然のように専業主婦になるつもりだったんですが、仕事をやめたことを伝えると夫はびっくりしていて。自分のお給料だけじゃ厳しいと言ってきました。婚活パーティーのときに男性側には参加条件で収入がいくら以上の人とあったので、そんなに高くはなかったけれどあれなら暮らしていけると思っていたのですが、違ったみたいでした。

相談しなかったことも夫からすると引っかかったみたいです。本当に不本意ではありましたが、花嫁修業もかねて結婚後はパートをするということに落ち着きました」

【義実家はパート先と同じ排水溝の悪臭がした。次ページに続きます】

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