取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った、結子さん(仮名・42歳)は、友人の紹介で知り合った男性と29歳のときに結婚するも、36歳で離婚に至ります。その原因は子どもができなかったことだと言います。
「当時の私たちは結婚イコール子どものいる生活でした。それ以外は考えられなかったし、当然子どもはできると思っていました。あのときはお互いが普通じゃなかったんだと思います」
若い頃はぶつかり合っても年を重ねるごとに落ち着いた関係に。両親は理想の夫婦
結子さんは奈良県出身で、両親と2歳下に妹のいる4人家族。小さい頃は夫婦ゲンカが絶えなかった両親だったそうで、家に帰って来ない父親に代わってよく母親が1人で眠る布団に潜り込んでいたと振り返ります。
「今でこそ両親は落ち着いていますが、小さい頃は何が原因かは知らないけどよくケンカをしていました。父親は基本は優しかったものの静かにキレるような人で、ケンカはいつも母親が文句を言い続けているのを父親が黙って聞き続けるといった感じでした。そして、ケンカの後は父親が数日帰って来なくなっていました。小学生ぐらいから夫婦ゲンカの流れみたいなものがわかるようになって、両親は当時一緒の布団で寝ていたんですが、ケンカの翌日は毎回妹を起こして2人で母親の布団で寝るようになっていましたね。たまに夜中に父親が帰ってくることがあったようで、朝になって寒そうに身を縮めて居間で寝ている姿を何度か見たことを覚えています」
そんな両親も年齢を重ねる中でケンカもなくなり、夫婦で旅行するなど関係はうまくいっているとのこと。その姿を見て、結婚に憧れるようになったそうです。
「両親を見ていると、夫婦も一緒にいる時間を重ねることで新しい関係を作っていけるものなのかなって思いました。若い頃はぶつかり合っても落ち着く時期が来るんだろうなって。いつからかはわからないけれど、両親が私の理想の夫婦みたいな感じになっていたんです。結婚願望は昔からあったし、社会人になってからは結婚を意識できる人としか付き合ってきませんでした。そのぐらい、早く結婚したいと昔からずっと思っていました」
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