義実家はパート先と同じ排水溝の悪臭がした
結婚後に簡単な調理なども行えるコーヒーチェーン店で働くも、下水の掃除がどうしてもできずにすぐにやめてしまう。
「パート先では定期的に排水溝の掃除があったのですが、それは新人の仕事でした。私も母親ゆずりでやや潔癖なところがあったので、排水溝のニオイで何度も吐きかけて仕事にならなかったのです」
結婚後は新居を構えていたが、夫だけの収入でやりくりをするのは厳しく、義実家に相談したところ、仕事で数年海外に行く親族の家を借りることができたという。そのマンションは義実家と徒歩10分以内の場所にあった。
「やっぱり専業主婦になりたいと夫にお願いしていたところ、夫が義両親や親族に相談したのか、いいマンションがあるという話をいただきました。そのマンションの持ち主は夫の親族で、別の親族が定期的に掃除を頼まれていたみたいですが、空室にして部屋が傷むよりはいいと快く貸してくれました。相手の荷物などで1部屋は潰れてしまいましたが、その分格安で借りることができたんです。
唯一のネックは、義実家に近いところだけ。でも、キレイなマンションで暮らせるなら我慢しようと思ったのです」
義実家との交流は結婚の挨拶のときと結婚式のほか、外食など数回のみ。義父はすでに亡くなっており、義実家には義母が1人で暮らしていた。夫には弟がいるが別で暮らしており、一度しか顔を合わせていなかった。
結婚して最初のお正月に初めて義実家にゆっくりお邪魔した。おせち料理を一緒に作るために義実家に行ったはずが、あまりの汚さにパート先の排水溝を思い出し、料理どころではなかったという。
「義実家の掃除で吐き気と戦うなんて、思ってもみませんでした」
年末の掃除を皮切りに交流を求めてきた義母。いつからか義実家の掃除はゆかりさんの担当になった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。