取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った郁恵さん(仮名・42歳)は、32歳のときに8年交際した2歳上の男性と結婚。ずっと同じ場所で同棲したまま、結婚に進展しない関係に別れも覚悟していた矢先に、妊娠が発覚して結婚することになった。義両親に対しては、8年間一度も挨拶せずに授かり婚という体面を気にしていたが、拍子抜けするほどの歓迎ムードだったという。
「『おめでとう』、『嬉しい』、『体は大丈夫?』と、義父はニコニコしていて、義母は興奮気味にずっと話していました。夫には兄がいて、すでに結婚して子どももいる状態だったので初孫でもないのにこんなに喜んでくれるんだって、とても嬉しかった記憶があります。あまりの嬉しさに泣いちゃったほどでしたから」
義母のスケジュールに私の世話が組み込まれた
郁恵さんが妊娠中に悩まされたのが吐きつわりと眠りつわり。眠気と、起きている間は車酔いのような気分の悪さが続いたという。仕事も上司だけに事情を話して調整してもらっていたものの、急遽欠勤などの日が続き、自らの意志で退職することに。その状況を軽く義母に話したところ、そこから週1~2度の訪問が始まった。
「義実家は千葉県にあって、電車で1時間ちょっとかかるところ。義母はそこから毎週来て、私たちの家の世話をしてくれました。来てくれたときには義母は私を無理やりにでも寝室に押し込んで寝かせてくれます。最初こそ無理でも起きてようとしていたのですが、何度も続くと最後にはお言葉に甘えてずっと寝ていたんです。そんな嫁に対しても怒ることなく、起こすことなく夫が帰ってきたら食事の用意をして、夫に後片付けをきっちり躾けて帰っていきます。
それに、翌日に夫から聞く『母さん嬉しそうだったよ』の一言は、迷惑をかけてしまったかもという私の心を軽くしてくれました」
義母は夫に代わって病院にも付き添ってくれた。その行為は嬉しいものだったが、予定伺いのメールが負担に感じることもあった。『ごめんなさいね』から始まるメールを見る度に、イライラしてしまうことが増えていったという。
「『一人だったときに何かあったら心配だから』と言って、病院にも率先して同行してくれました。オーバーではなく、あの頃の義母は私の予定を中心に回っているような感じでした。低姿勢なもののスケジュールの報告が決まり事になってきたときにはもういいのになって思ってしまうときもあって……。
義母は本当にいい人なのに、そんな義母にイライラしてしまうことに対して自己嫌悪が強くなっていきました」
【良かれの行動は簡単に押し返すことができない。 次ページに続きます】