取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った美玖さん(仮名・38歳)は36歳のときに5歳上の男性と結婚。婚約破棄に遭い、異性との信頼関係を築くのに苦労していたところ、友人関係の延長としてシングルファーザーの男性と付き合うことになります。
「当時私は海外旅行が趣味で、英語を話せるようになりたかったんです。夫との共通の知り合いに外国の方がいて、彼が日本人の友人作りとして英会話サークルのようなものを無償で行っていて、その中に私も夫も参加して仲良くなりました。元から仕事関係の顔見知りだったんですが、それまではまったく仲良くはなく。徐々に距離を縮めていったので付き合うまでは1年ほどを要しました」
連れ子は私のことを“お金持ち”と言った
旦那さまの連れ子である連くん(仮名)と会うたびに彼のお気に入りのお菓子はもちろん、好きなキャラクターのグッズなどをプレゼントしていたそう。連くんは美玖さんに懐いてくれるようになったと言います。
「連くんが私のことを“お金持ち”と言っていたみたいで(苦笑)。お菓子はたくさんといってもスーパーで買うと1つ80円ぐらいでそれを5個ぐらいと、キャラクターグッズもガチャガチャにあるようなものなのでそこまで高くありません。それなのにお金持ちとなったのは『お父さんが買えない』と認識してしまっているからみたいでした。買えないではなく、子どものためを思ってたくさん買い与えていないだけなのに、子どもには当たり前ですが、その奥にある気持ちなんてまだわからないんですよね。
私は祖父母のように欲しがるままに買い与えてしまっていました。だって急にそれがなくなってしまったら、私の価値が暴落してしまうんじゃないかと不安で」
「私と連くんが仲良くする姿を見て、旦那さまがプロポーズをしてくれた」と美玖さんは認識しているようです。
「夫の中では子どもは一番なのは当然だと思っています。私には子どもはいませんが、常識なのでそれぐらい理解しているつもりです。だから、夫が私との再婚を決めてくれたのは、連くんおかげだったと思います。
そのときの私に彼と結婚したいという気持ちがあったのかは正直わかりませんが、絶対にいなくならないという保証は欲しかった。それに一番近いものが“家族になること”でしたから」
【懐いてくれているのに不安。嫌われたくないから怒れない。次ページに続きます】