妹ができたことで「私だけ違う」という思いが強くなった
最初に会ったときも義父の印象は可もなく不可もなく。中学生という大きい子どもをどう扱っていいかわからずに戸惑っているように見えて、そこから生まれた距離感が逆に心地良かったと言います。
「結婚してからも2人は一緒に暮らさず、週の半分ぐらいを一緒に過ごして、義父は元の家に帰っていました。何故なんだろうとは思いましたが、聞いてはいません。もしかしたら、年頃の娘がいるからとかあったのかな、それとも私が受験だから? とか想像していました。どんな理由にしても、私にはありがたかったですから。いきなりお父さんと言われても、正直受け入れられないですよ」
しかし、その距離感は妹の誕生でなくなります。母親が妊娠したことで父方の祖母が家にやってくるようになり、一緒に暮らすことになってしまったとか。
「母が妊娠して、本当は頼りたかった祖母ももういないので、義父の母親、私にとっては祖母? が家に来るようになり、祖母に強制的に一緒に暮らすべきと言われてしまったんです。確かにそうなんですけど、一気に家で過ごすことが窮屈になりました。引っ越しもすることになって、妹が生まれるまでは本当にバタバタでしたね」
母親の妊娠により、家族の中での疎外感も強くなっていったそう。
「誰が父方の祖母を頼ったのかはわかりませんが、私はまた役に立てなかったんだなって思いました。祖母は、母はもちろん私にも優しくしてくれたし、義父も一緒に暮らすようになっても距離を急に詰めようとせずに気遣ってくれていた。でも、生まれてくる妹を含めて、みんなは血がつながっているんだ、ってなんとなく輪の外側にいるような感覚になりました。一刻も早く自立して家を出たいなって思うようになっていきました」
妹が生まれるとより疎外感が強くなると思い込んでいた早貴さんだったが、家族は1つにはならなかった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。