私がリビングに入ると、妻と子供たちがシーンとする

学生時代はイケイケだったのに、社会人になってから下り坂になったと信忠さんは考えている。

「私のピークは18歳のとき。大学で麻雀にハマって留年してからは、ずっと人生下り坂。ジャーナリストになりたかったのに、今の仕事ですしね。それでも頑張って、妻が欲しいというから一戸建てを買い、望み通り車も買ったんです。それなのに感謝の一言もない。そういう不満が重なって、25年くらい前に、話し合いの機会を設けたんです。妻にしてほしいことを紙に書き出して、伝えました。すると、“子供が生まれても家に帰ってこれない薄情な人が、何を偉そうに言っているの? 離婚したかったらすれば”と言われたんです」

その時、信忠さんは美しい顔を蒼白にして語る妻を改めて好きになってしまう。

「それなのに、売り言葉に買い言葉で、家庭内別居になってしまったんです。でも家庭って、育児を妻に丸投げしてしまうと何も話すことがないんですよ。進学などについても、妻と子供たちが勝手に決めてしまう。私抜きで家族旅行に行ってしまうなど、用事を作って話しかけても、“あなたはどうしたいの?”と言われる。こっちは何も意見がない。そこで会話はストップしてしまうんです」

だから、2年前のテレワークの時は地獄だったと言います。

「子供たちは社会人になり30を超えていますが、結婚もせずに家にいる。3人が結託しており、私だけが異分子。たまたまリビングに私が行ったとき、3人が話しながら何かをしていたのですが、私が入るとシーンとする。それから、3人のグループラインで会話をして、それぞれの自室に入っていくんですよ」

それまでは、仕事で家にいなかったから気付かなかったけれど、妻はかなりの頻度で外出していることがわかったそう。

「3泊とか、1週間とか出かけるんです。子供たちはどこに行っているか知っているようですが、聞ける雰囲気でもない。実家ではないことは明らかなのですが……気になるので調査してほしいんです」

【妻は飛行機に乗って、縁もゆかりもない沖縄に旅立った……その2に続きます】

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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