里親さんの細やかな気配りで上手に先住猫(右/銀次)と仲良くなれた保護猫の織部(左)。

「毎日が猫の日」という 「猫愛家」もやっぱり気になるのが、2022年2月22日。〈にゃんにゃんにゃんにゃん〉とにゃんとも興奮する猫年猫月猫日で、この日ばかりは、わが家のにゃんこに特別なごはんをあげようとか思案している人も多いのではないでしょうか。

さらには、せっかく猫年猫月猫日なのだから、すでに猫を飼っているけれど、もうひとり家族を増やしてしまおうという気持ちになる人もいるかもしれません。

保護猫活動をしている筆者は、先住猫のいるお宅にふたりめの猫を譲渡する機会がありますが、すんなり受け入れられる場合もあれば、なかなか思うようにいかない場合もままあります。

この1年間で筆者が譲渡した保護猫の数は45匹ほどですが、そのうち3匹が、先住猫と馬が合わず戻ってきてしまいました。

ケース1:先住猫が1歳半の女の子で、新入りが月齢4か月の男の子
ケース2:先住猫が4歳の男の子で、新入りが4歳の男の子
ケース3:先住猫が7歳の男の子で、新入りが月齢3か月の男の子

いずれのケースでも、新入りは先住猫と仲良くなりたくて従順な姿勢を示したり、遊ぼうと誘ったりして努力していましたが、先住猫がどうにも受け入れがたいと思ったようで、抵抗したり、食事を食べなくなるといった事態になってしまいました。2週間のトライアル期間を延期してさらに様子を見たご家族もあれば、トライアル半ばで断念したご家族も。

先住猫と新入りは性別が違う方がいいとか、新入りが子猫なら受け入れられやすいとかいった話はよく聞きますが、必ずしもそうでもないようです。

時間と根気が必要

織部の場合、最初はドアの閉まる部屋の中でケージ暮らしからスタート。しばらくして先住猫銀次のいる空間にケージごと移動したが、ケージには覆いをして直接目が合わないようにした。

先住猫との相性が悪くトライアルに失敗するのは、全体からしたら少ないのかもしれません。先住猫と年齢性別関係なく仲良くなれたケースも多々ありました。それでも、相性が悪い猫同士が一定数はいるということがわかります。

あらためて、新入り猫を家族に迎える場合、どんなことに注意したらいいのか、何かコツはあるのか、動物行動学者で愛猫バイブルと聞こえの高い『猫が幸せならばそれでいい』著者の入交眞巳先生に話を聞いてみました。

「それぞれのお宅や猫たちの状況にもよりますが、そこまで仲が悪くない場合は、時間が解決してくれるので、ゆっくり無理せずにやっていくしかないと思います」と、入交先生。

先生から教えて頂いた、ふたりめの猫を迎える際に知っておきたいポイントをまとめてみました。

●約1週間の環境受け入れ期間

猫は一般的に、新しい環境を受け入れるのに1週間くらいは見た方がいいといわれています(個体差はある)。保護猫の場合、外でどんな過酷な生活を送ってきたかによって警戒心の強度は変わるし、もともとの性格の違いもあるが、引っ越し初日が緊張マックスで、一般的には1週間くらいかけて徐々に冷静になっていき、ようやく気持ちに余裕が出てくる可能性が高いようです。

●物々交換

少なくとも最初の1週間は新入りのいる部屋には先住猫を入れないようにし、場合によっては新入りにはケージに入ってもらい、カーテンなどをケージにかけて覆いをして、新しい場所を徐々に受け入れる心の準備をさせてあげた方がいいそう。すぐに接触させるのではなく、最初のうちは、「何かいる」とお互いに意識させる。それぞれが普段使っているクッションやタオルなどを交換して、相手の匂いに慣れさせるのもいいでしょう。

●じわじわ会わせていく

第一印象が悪いとそれが尾を引いてしまうので、最初はお互いのことが見える範囲で、それぞれの猫におやつを与えるなどして、ちょっとずつ「いい思い」を増やしていき、お互いに害がないことを認識させて少しずつアプローチさせていくといいでしょう。はやる気持ちを抑えて、猫同士をびっくりさせないようにするのが大事です。

●トイレやご飯の場所は分ける

それぞれがゆっくり食事や排せつができるようにしてあげましょう。側でずっと見ていられないような時には、それぞれ別の部屋で過ごさせるようにしたり、ケージをうまく活用して直接的な接触を避けるようにしてあげてください。やんちゃな子であれば、ひときわテンションが高くなって激しく遊ぶような時間帯だけでも隔離して、それぞれで遊べるように工夫するといいでしょう。

●新入りがいるといいことがあると思わせる

先住猫さんも新入りさんも同じようにかわいがりましょう。新入りさんがいて飼い主さんは楽しそう、自分にもおやつをくれる、遊んでくれる。新入りさんがいるといいことがある、楽しい、害はない、と先住猫さんに思ってもらえるよう工夫しましょう。

とにかく焦らない。ちょっとずつちょっとずつ、距離を縮めていけるように環境を整えてあげることが大事ということですね。

どうにも相性が悪かったら

覆いごしに相手の存在に徐々に慣れさせてから、ケージ越しの対面。

こんな風に気を遣って、猫同士の初対面ができるだけ好印象になるようにしても、どうにも相性が悪いのではないか、と感じることもあるかもしれません。

「相性が悪いかもしれないと思った場合、もしお家に充分な広さがあって2匹の猫が住む空間を完全に分けるような対策を取ることができるのであれば、別々の空間でそれぞれが暮らすことができます」

猫によっては、野良猫と同じ行動パターンを家の中でするかもしれないと、入交先生はいいます。

「野良猫さんは馬の合わない個体に対して、お互いに出会わないようにスプレーしながらけん制して場所を伝えあったりしていますが、おうちの中でもそれをしてしまう場合もあります(※去勢済でも状況によってスプレーする猫もいる)。そうなると、お家の中が排泄物で大変なことになるので、そういう猫たちの場合はやはり、完全に隔離するか、相手の気配があっても鉢合わせを絶対にしないような環境を作るようにするしかないのかなのかと思います」

筆者の友人の飼い猫は、同じ親から生まれた兄弟にも関わらず相性が悪く、顔を合わせると血を見る喧嘩になるため、家の中で絶対に会わないように部屋を分けたり、リビングなど共有の場所では鉢合わせにならないよう出入りできる時間帯を分けたりして工夫しているそうです。

それだけの部屋数やスペースがあればこそ可能な対応だが、マンション暮らしなど、限られた空間では難しい場合もあります。

どのタイミングで「あきらめる」のが正しいのか。入交先生曰く、「相性が悪いと判断して、新しく猫を迎えることをあきらめるタイミングは、結局、ご家庭それぞれ」だそう。

「そこまで気を遣っていられない、場所も時間も根気も限られていると思ったら、先住と相性の悪い猫さんとはご縁がなかったと思ってもよいのかもしれません。こればかりは仕方ないことだと思います。人も同じですよね。どうしても合わない人がいて、人間関係がものすごく悪ければ、心を壊す前に会社を辞める。猫の場合もそんな感じでしょうか」

せっかく家族に迎えようと思っていたのに、先住猫に受け入れてもらえないとなると、猫たちも人間もショックが大きく、悲しいものです。でも、試してみないとなんともいえないのも事実。

慎重に、慎重に、それぞれの性格を見極めながら、迎える猫を選び、先住猫と出会わせる際にも慎重に慎重に進めてもらいたいですね。そして、楽しいwith猫ライフを楽しんで頂きたいです。

月齢が近かったことも良かったのか、男の子同士ですっかり仲良しになった先住猫の銀次と織部。今では後からきた織部の方がボス感を漂わせている。

入交眞巳(動物行動学者)
日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)卒業。都内の動物病院にて勤務後、米国バヂュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。北里大学獣医学部講師、日本獣医生命科学大学獣医学部講師を経て、どうぶつの総合病院・行動診療科主任、日本ヒルズ・コルゲート株式会社の学術アドバイザーを務める。現在、東京農工大学特任講師をはじめ、各地の獣医科大学の非常勤として教鞭もとる。著書に『猫が幸せならばそれでいい』(小学館)。

『猫が幸せならばそれでいい: 猫好き獣医さんが猫目線で考えた「愛猫バイブル」』
入交 眞巳 (著),、おぷうの きょうだい (著、イラスト)

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文/一乗谷かおり

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