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愛猫のために、このフードはいいとか、あのおやつは与えすぎてはいけないとか、あれこれ考えてきたけれど、実は水に関してはあまり深く考えてこなかったことに、最近ふと気づきました。

そこで、困った時の入交先生!というわけで、いつもご指導を頂いている獣医師で動物行動学者の入交眞巳先生に「水」についてアドバイスを頂きました。

■日本の水道水は優良!むしろミネラルウォーターに注意して

どんな水をあげるべきかという質問に対する入交先生の回答は、拍子抜けするほどあっさりしたものでした。

「日本の水道水でしたらまず問題ありません」

衛生管理の行き届いた日本の水道水の水質基準は非常に高く、人間も猫をはじめとするペットがそのまま飲める高品質な水だから、日本にいる限りは猫のお水も水道水でなんら問題はない、というのです。

「むしろ、こだわるあまりミネラルウォーターを猫ちゃんに与える方もいらっしゃるかもしれませんが、硬度の高いミネラルウォーターは猫ちゃんの健康を損ないかねないので、やめた方がいいかと思います」

日本の水道水は硬度の低い軟水です。一方、硬水と呼ばれる硬度の高いミネラルウォーターには、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムといったミネラルが豊富に含まれています。

人間にとっては問題ない量ですが、体の小さな猫が硬度の高い水を飲むと、尿路結石ができやすくなるのです。マグネシウムが増えてできるストルバイト結石と、カルシウムが増えてできるシュウ酸カルシウム結石が猫に多い結石の種類といわれています。

結石ができるとおしっこをするたびに痛くなったり、血尿が出たりします。石が大きくなると尿路が詰まって急性腎不全などになってしまうこともあるのです。

また、マグネシウムは下痢を起こしてしまうこともあります。

「もしどうしてもカルキ臭が気になるようでしたら、水道水を煮沸して冷ましてからあげるといいでしょう。でも、水が腐りやすくなるので、その日のうちに使いきって下さい」

どうしても水道水に抵抗がある場合は、ペット用のミネラル分の少ない水も市販されていますので、試してみてもいいかもしれません。

「もっとも、結石は水に含まれるミネラルのせいだけで起こるものではありません。お水をあまり飲まない猫ちゃんは、おしっこの回数が少なくなりがちです。おしっこの量が少ないと、おしっこの濃度が濃くなってしまいますし、おしっこの回数が少ないと尿路に結石の原因となる物質の結晶が留まる時間が長くなり、結石ができやすくなる可能性があります」

猫のご先祖様は砂漠出身。本来はあまり水を飲まなくても生きていける動物です。でも、そこが盲点。適量の水は健康にはやはり必要なのです。あまり水を飲まない猫ちゃんでしたら、フードに水分を混ぜるとか、ウェットの缶フードをあげるとか、喉が渇いて水が飲みたくなるよう猫を運動させて、水をたくさん飲んでもらうのも手です。

■どの器が好み?猫の水飲み行動実験

猫に水をたくさん飲んでもらいたい。でも、水に味付けするわけでもないですし、何かいい手はないものか。そこで思いついたのが、水をたくさん飲みたくなる器、より飲みやすい器を探してみよう、ということ。

というわけで、いつもお世話をしている保護猫シェルターの猫たち30匹の協力を得て、簡単な実験をしてみました。以下の4つをシェルターのフリーエリアに設置し、猫たちの水飲み行動を観察する、というものです。

1)いつも猫たちが使っているステンレス製の器
2)以前かかりつけの動物病院で「よく水を飲んでくれますよ~」と薦められた陶器の器
3)中央から泉のように水が湧き出るタイプの自動給水器
4)蛇口のように水が落ちるタイプの自動給水器

4種類の水器で実験スタート。当初、猫たちは好奇心が勝るのか、設置された水器に群がりました。

好奇心旺盛な猫の中には、初めて見る自動給水器の水を手ですくって舐めてみる猫も何匹かいました。

猫たちは普段は(1)の器に入れた置き水を飲んでおり、他の器や給水機が珍しいのか、最初はみんな、(1)以外の容器に興味津々のようでした。

でも、それぞれの「チェック」も30分ほどで終わった模様。その後の「平時」の様子を観察しました。

結論からいうと、今回の実験で一番人気だったのは(3)のタイプでした。この自動給水器では常に誰かしらが水を飲んでいる様子が観察できました。

その次に人気だったのが、(2)の陶器。これは器が小さいため、一度に1匹しか使えませんが、無理やり2匹で飲んでいた時もありました。

(4)のタイプは、実験当初、一番人気だろうと期待したものでした。水道の蛇口から水を飲むのが好きな猫は多いと聞きますし、我が家の飼い猫の1匹もそうです。

こちらは大き目の自動給水器で、水が出る箇所も数か所ありますし、一度に複数の猫が使うことができます。水をためる場所にもたっぷり水が入り、常に零れ落ちてくる水でたまっている水面も動いており、フレッシュ感があります。

普段、(1)の水を飲んでいるシェルター猫たちは、最初は(4)がおもしろいようで、みんなで群がっていました。中には落ちてくる水を手で捕まえようとする猫もいて、かわいらしかったです。

でも、慣れてしまうととたんに興味をなくしてしまう猫たち。水が飲みたくなるとたまっている部分の水を通常の置き水感覚で飲むだけで、落ちてくる水を直接飲もうとする猫は30匹中1匹もいなかったのです(最初のお披露目段階では落ち水を直接飲む猫はいました)。

そういう意味で、(4)は(1)とあまり変わらない扱いを受けていたことになります。

一通り「珍しいものチェック」が終わって、通常の水飲み行動が始まってからの猫たちの様子。いつも使っているステンレスの器で水を飲む猫は、3時間の実験時間中、3匹程度でした。

 

【次ページに続きます】

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