私はもう幸せになれないの?

今日子さんのお兄さんも今も独身で海外で仕事をしています。しかし、一人ということを両親から心配されるのは今日子さんだけ。一人でも生きていけるという証を見せるために全財産を両親に公開したこともあったのですが……。

「兄は確かに高給取りです。結婚願望がなく、海外勤務希望をずっと出していて、海外で悠々自適に暮らしています。両親は親族間でおそらく一番出世した兄のことをよく自慢しています。独身のことについては『あの子はあれでいい』とか言って認めているようですし。

それなのに私はどんなに仕事を頑張っていても、『そんなに働いてどうするの?』とか言ってきます。だから、貯金が1000万円を超えたときに通帳と月の給料明細を両親の前に突き出したことがあるんです。母親から『いい人はいないの?』と聞かれたときに『いない。絶対に結婚したいとは思っていないから』といいながら、バーンと。私はIT企業の営業の仕事をしていて、そのときの年収は600万ほど。自分一人なら十分食べていけるという証明をしたかったんですが……」

通帳を見た母親から「ずっと続く保障はどこにあるんですか?」と冷静に質問され、そこで言い合いになってしまい、その後コロナ禍に入ったことで今はお互いの健康確認のメールしかしていないそう。会っていない間に今日子さんは40歳を迎え、お祝いメールに一文が付け加えられていたとか。

「おめでとうという言葉の他に『後から子どもが欲しいと思ってもう遅いです』って。確かにそうかもしれないけど、私は一度も子どもを欲しいと言ったことはありません。子どもの幸せを結婚、家庭を持つことだけだと思っている親を説得することはもう無理なのでしょうか……。たとえ諦めてくれたとしてもこれから先も『30代のときに……』と一生言われそうで、帰省しようという気持ちがこのことを考える度に萎んでいきます」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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