取材・文/ふじのあやこ
家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺ったのは、都内で働きながら一人暮らしをしている今日子さん(仮名・40歳)。大阪府生まれで、両親と5歳上の兄がいる4人家族。家族仲も良好で、学生時代からずっと付き合っている男性がいたなど決して男性が苦手ではないものの、もう結婚をすることはないだろうと語ります。6年間の交際期間があった男性を一度も両親に紹介したことはなかった理由にはお兄さんの彼女に対する両親の態度がありました。
「両親は夫婦仲も良くて、理想でした。6年間付き合っていた中でぼんやりとこのまま一緒にいたら結婚するのかもという思いはありましたが、そこまで結婚願望はありませんでした。一度も紹介しなかったのは、兄の彼女の容姿の悪口を言う父と、私の前で兄の彼女をけなす母を見たから。結婚相手じゃない限り紹介はしたくないと強く思いましたね」
30代の従姉を「行き遅れ」と父は笑い、「家庭、子どものいる人生を送ってほしい」と母は言った
今日子さんは結婚適齢期となるも結婚に対しての焦りは特になし。しかし、帰省時や親族間の集まりには未婚の居心地の悪さを感じるようになっていたとか。
「私は親族の集まりの中で一番年下で、いわゆる結婚適齢期に未婚でいじられている従姉を10代の頃からよく目の当たりにしていたのです。私の父親も本人の前では言わないものの、『あのぐらいの年齢の女性は行き遅れって言うんやな』って家に帰ってから笑いながら言う。親族も同じような考えの人ばかりだからきっと私も言われているんだろうなって。直接言われなかったのは、一時私たち兄妹以外全員が結婚していたのですが、一番上の私の13歳上の親戚のお姉さんがバツイチで戻ってきて、結婚についての話が親戚中でタブーになっていたから。お姉さんは一番態度の大きい父の兄の娘だったので誰も触れられなかったみたいですね。それが皮肉にも私には盾のようになってくれました」
父親は未婚の娘に対して何かを言ってくることはなかったものの、母親から心配しているという話を帰省の度に言われていたそう。結婚願望がないことを伝えても受け入れてくれなかったと言います。
「結婚は無理にまでしようと思っていないと何度伝えても、母親はそんな私の考えを否定してきました。当時33~35歳ぐらいだったんですが『もう最後のチャンス』とか言うのです。『自分も仕事を続けたかったけど、結婚を機に仕事を辞めて、仕事よりも大事なものができた』とか、『家庭、子どものいる人生を送ってほしい』とか。私を産んで良かったということなんでしょうが、私の選択したこれからの人生は否定するのは違いませんか。その凝り固まった考え方を聞いて、母親のことを少し残念に感じてしまいました」
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