取材・文/ふじのあやこ
近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。
「結婚は無理だと諦めたわけではなく、今までの経験なども加味して、自分でしないと決めたのです。しかし、両親はそんな私をまったく受け入れてくれなくて……」と語るのは、今日子さん(仮名・40歳)。現在は都内で働きながら一人暮らしをしています。
家族仲、夫婦仲も良好。大きな揉め事は何もなかった
今日子さんは大阪府生まれで、両親と5歳上の兄がいる4人家族。家族はしっかり者の母親を中心に回っていて、どこかへ行く、何かを買うためにはいつも母親の許可が必要だったと言います。
「父親は出張が多い商社のサラリーマンで、母親は専業主婦です。父親はお小遣い制でも文句一つも言わず、家のことに対して口うるさいこともなく、私の家族は母親を中心に回っているような感じでした。家族仲は良いように思います。
小さい頃から家族で外食したり、旅行に行ったりよくしていたんですが、すべてのお金を管理しているのは母親で、毎回母の『よし、行こう!』という言葉で決行かどうかが決まります。ゲーム機などは私とお兄ちゃんが母親に必死でお願いしてやっとなのに、母親は通販で自分用のダイエット機をサクッと買う……。父はお酒が大好きで焼酎をすごく薄く割ってちびちび飲んでいるのに、母親は常におはぎなどの甘いものをストックしている……。理不尽だなって3人で話し合ったこともあります(苦笑)」
小さい頃は両親がケンカするところを見たことがあったものの、年々仲良しになっていき、今日子さんが高校生のときには子どもたちをそっちのけで夫婦で出掛けるようになっていたとか。
「高校生の頃って反抗期などもあって、両親と出掛けるのが恥ずかしいと思っていた時期なので丁度よかったんですけどね。小さい頃はケンカしてお互いが一切口を聞かないようになって、どちらも子どもを介して会話する面倒臭い時期もあったんですが、どちらも年を重ねたことによって丸くなった気がします」
【兄の彼女に対して真っ先に悪口を伝えてきた両親。次ページに続きます】