文 /市川雄一郎

投資は豊かな人生を送るためにある

誰にとっても、人生の目的は豊かで幸せに暮らすことであり、投資はそのために必要な人生の大切な営みのひとつです。お金は使ってはじめて価値を持ちます。読者の皆さんには、投資によってお金を増やし、豊かで幸せな人生を送ってほしい。これが本書に託した私の切なる願いです。

グローバルファイナンシャルスクール 校長 市川雄一郎

【教えその10】基本が大事。当たり前のことを軽視してはいけない

投資戦略を制約する3つの変数

資産を増やすには、どうのように考えればいいでしょうか?

考慮すべき要素(変数)は4つあります。1つめが元手となる「資金」。2つめが「年利・リターン(利回り)」。3つめが資金を運用する期間、つまり「年数」です。そして、4つめが「知識(力)」です。

まずは「資金」について。

元手となる資金が多ければ多いほど、小さなリターンでも資産は増やしやすくなります。例えば、年利1%の定期預金に100万円を預けたとします。すると、税金を考慮しなければ、1年後に手にするリターンは1万円です。同じ定期預金に1億円預ければ、リターンは100万円。10億円なら、1000万円です。当たり前ですが、資金量が大きければ大きいほど、得られるリターン(絶対額)も大きくなるわけです。

次に「利回り」について。

同様に、金利が高ければ高いほど、資産は増えていきます。100万円を年利1%の定期預金に預ければ、1年後のリターンは1万円ですが、年利2%だったら、2万円になります。これも当たり前の話です。

3つめの「年数」はどうでしょう。

100万円を年利1%で1年間運用すれば、得られるリターンは1万円ですが、そのまま2年間、さらには10年間預けていればどうなるでしょうか。シンプルに単利計算でざっくりと言えば、2年後には2万円、10年後には10万円が得られることになります。これまた当たり前の話です。

ここまでの3つの変数を掛け合わせた「資金×金利・リターン(利回り)×年数」が、いわば投資を行う際の基礎条件になります。つまり、元手が小さければ資産を大きく増やすことは難しくなりますし、金利が低い場合や運用期間が短い場合も、やはり資産を大きくするのは大変です。

図表にひとつの例を示しましたが、資金と利回りと期間のうち、どれか1つでもあれば資産を作ることはできます。資金があれば当然、大きな資産を作ることができます。資金が少なくても、利回りが大きければ、やはり大きな資産を作ることができます。また、今は資金がないという若い方でも、その分、長い期間運用できますから、利回りがそれほどでなくても、将来期待できる資産はバカにできません。投資戦略はまず、これら3つの変数に制約されるということがおわかりいただけると思います。

正しい「知識」があれば、お金は増やせる

しかしながら、投資の成否を決める要素はこれだけではありません。軽視されがちなのですが、4つめの「知識(力)」こそが最も重要な変数である、と私は考えます。知識があれば、基礎条件の制約の中でも、最大限にパフォーマンスを高めることができるのです。

例えば、投資商品の選択肢を広げたり、運用期間を調整したり、リスク分散を図ったり、あえてリスクを取りにいったりすることができるようになります。要するに、投資戦略の幅が広がり、柔軟性を増すことができるのです。

もちろん、ここで言う知識とは、しっかりとした正しい知識でなければなりません。にわか知識は怪我のもと、リスク度を高めてしまいますので要注意です。本物の自動車を運転したことのない人が、ゲームセンターのシミュレーションゲームが得意だからといって、いきなり自動車を運転して公道に出たらどうなるでしょうか? あるいは仮免見習い中の人が、F1ドライバーの高度なテクニックを聞きかじりのにわか知識で真似しようと思ったら、どうなるでしょうか? いずれも大惨事になりかねませんよね。自分自身のレベルに合わせてコツコツと実践して得られる知識こそが、真の知識ということです。

以上のことから、私は次のように定義しています。

資産を増やす勝利の方程式=資金×年利・リターン(利回り)×年数×知識(力)

この方程式をしっかりと認識していれば、お金を増やすことができるようになります。リスクを最小限に抑え、着実に資産形成していくことは、誰にでも十分に可能なのです。

冷静に考えれば、誰でも納得できる方程式だと思うのですが、こと資産運用となると、多くの人が冷静さを失いがちです。とりわけ「知識(力)」については忘れている、あるいは軽く考えている、もしくは最初から考慮していない。それが実情ではないでしょうか。

もしこの方程式の知識(力)がゼロだった場合は、掛け算ですから勝利の方程式から勝利はゼロということです。

おいしい話を聞くと、すぐによそ見をする。誰かが儲かったと聞くと、今度はそちらを振り返る。そんな人があまりにも多くて、ちょっと悲しくなります。お金が絡むと、人の心理は流されやすくなってしまうものです。くれぐれもご用心!


市川雄一郎
グローバルファイナンシャルスクール校長。CFP(R)。MBA/経営学修士。
日本のFPの先駆者として資産運用の啓蒙に従事。
テレビ、新聞、雑誌等のメディア活動経験も豊富。
最新の著書に「投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え」(日本経済新聞出版)がある。
グローバルファイナンシャルスクール(GFS)
公式サイト:https://gfs-official.com/
体験版講座:https://toushi-up.com/

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※本記事は『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え(日本経済新聞出版)』より抜粋して掲載しています。

 

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