母親の計画離婚で、父親が出て行った
亜紀さんは大学を卒業後にあるアパレルブランドに就職。働き始めて3か月ほどで両親が離婚してしまいます。
「まったく気づかなくて。大学も実家から通っていて、両親が会話している姿も見なかったし、ケンカするほど話していましたっけ?という感じでした。でも、母親の中では、私が社会人になったらと決めていたみたいで、それを父親が受け入れて……。冷静に離婚を報告されたので、私ももう社会人で、取り乱したり反対したりできるわけもなくて。すでに1人暮らしをしていて、電話で報告を受けたという姉も淡々としていました。その数日後に父親が出て行き、母親との2人暮らしが始まりました」
その頃はすでに携帯があったものの、出て行った父親からの連絡は一切なし。亜紀さんからもできず、一気に他人のようになってしまったそう。
「毎日少しでも顔を合わせていたから、父親の存在を意識できたけど、私も大学生になった頃からそこまで父親と会話はしていませんでした。それがいざ連絡を取り合わないといけない関係になっても、すぐにできるわけがありません。姉も連絡を取っていなかったし、母親は父親が居なくなったことでフルタイムで働きに出るようになり、逆に生き生きしていて、話題に出すことも躊躇してしまって。父親を見たのは3年後の私の結婚式でした」
姉の結婚式では父は存在しないかのような扱いに。新しいパートナーができた母親へのもやもやを抱える中、変わらない父親の存在が頼もしかった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。