取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
今回お話を伺った、由美さん(仮名・38歳)は、26歳のときに学生時代から付き合っていた男性と結婚、現在は小学生になるお子さんと3人暮らしをしています。旦那さまとの付き合いは長く、その間もずっと義両親との関係は良好だったそうですが、義姉が現れてから関係がギクシャクするようになったと言います。
「私たちが結婚して3年後に夫の兄が結婚して義姉ができました。最初は気さくないい人に見えたんですが、長男の嫁として出しゃばり、義両親が思っていないことまで代弁してきたと思えば、家族同士で同じ行動を求めてきたり……。本当に邪魔な存在です」
優しい父親と、厳しいけれどいつも一緒にいてくれた母親。両親が大好きだった
由美さんは埼玉県出身で、両親との3人家族。父親はアパレル関係の仕事をしていて、母親は専業主婦という家庭で育ちます。父親が母親よりも12歳上で由美さんが生まれた頃には30代後半だったこともあり、とにかく優しい父親だったそう。一方の母親はとても厳しかったと語ります。
「両親は職場で出会ったと聞いています。父親からしたら私は遅くにできた子で、かわいいだけの存在だった感じです。どんなに仕事で疲れていたとしても土日は1日中遊んでくれましたし、自転車や竹馬、一輪車に乗れるようになったのもすべて父親のおかげです。40代で運動音痴な私に教えるのは本当にしんどかったと思います。一方の母親は、私ができたことで専業主婦になり、ちゃんと子育てをしようという一心で厳しく育てられました。家の用事も毎日手伝わされていたので、小学生のときにはある程度の家事ができるようになっていましたね。それには、一人っ子は甘やかされているという世間体を気にしていたと、私に子どもができたときに打ち明けられたから。大人になってから母親の苦労がちょっとだけわかるようになりました」
厳しい反面、由美さんの母親には手芸や料理などの趣味があり、小さい頃から一緒に行っていたとのこと。料理が好きになったきっかけには両親の影響もあるとか。
「子どもの頃に母親がずっと教えてくれて、私が作った料理を父親はたとえまずかったとしても笑顔で全部食べてくれました。それに、一緒に料理するときに母親はとても嬉しそうで、私はそんな母親を見るのが好きだったんです。家族の中心にはいつも料理がありました」
【同じ料理好きという共通点から学生時代の同級生と結婚。次ページに続きます】