自分の意思で母親と暮らさないことを決めた
父親の死去後に母親を重荷に感じてしまっていた明子さんですが、現在母親とは別々に暮らしていて、連絡を取り合ってはいないとのこと。その間に起こったこととして、一緒に暮らしている男性の存在を挙げます。
「母親への気持ちに罪悪感があった時期に、今の彼と出会い、初めて自分が受け入れられているという安心感を得ることができたんです。母親に対するイライラも、自分の気持ちだからと彼は認めてくれて。イライラしているのは親に抑制されたものじゃなく、私自身の感情だったんですよね。彼はそのことを繰り返し私に伝え続けてくれました。それで、今までの親との時間が辛いことだったんだとやっと認められたというか。
母親には私の意思で1人暮らしを決めたと伝えました。母親は泣いていましたが、私だって今までずっと泣きたかったのに、泣かせてもらえなかったんですから。母親のことは決して嫌いではないけど、ただ離れたかった。それを伝えたときはすごく疲れたのを覚えています」
最後に、冒頭にあった彼との結婚を選ばない理由を聞いてみました。
「私は誰かと一緒にいると、母親のような依存する人間になってしまうんじゃないかという怖さがずっと離れなくて。一緒に暮らしてはいるけど、個人個人だと認識するために結婚を選択していません。私は子どもも欲しくないんです。彼もそのことを受け入れてくれて、今も一緒にいることを選んでくれています。これからはどうなるかはわかりません。でも、そのとき感じた自分の気持ちを大切にしていくことだけは決めています」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。