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取材・文/ふじのあやこ

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)

今回お話を伺ったのは、兵庫県内で小さな喫茶店と友人と共同経営している加奈子さん(仮名・46歳)。兵庫県出身で、母親、そして母方の祖父との3人家族。生まれた時からずっと父親はおらず、母親は未婚のまま加奈子さんを出産します。祖父の援助もあり、生活苦に陥ったことはないものの、ルーズな母親をどこかで軽蔑していたこともあり、母子の関係は良好ではありませんでした。しかし、加奈子さんは家を出ることを選ばず、その理由は祖父がいたから。しかしその祖父も加奈子さんが大学に入った直後に病気で亡くなってしまいます。

「祖父がいなくなってしまって、大学をやめることを考えていました。そんな私の考えをお見通しだったのか、母親は『大学はちゃんと卒業すること。それができれば自由に生きていいから』と言いました。祖父という2人をつなぐ存在がなくなったことで、別々に生活をしたいと母親から言われたような気分でしたね。やっぱりこの居心地の悪さはお互いが感じていたんだなって」

祖父が貯めてくれたという通帳には、毎月入金がされていた

加奈子さんは大学を卒業、就職も決めて家を出ることに。その時に母親が渡してくれたお金があったそうです。

「私は大学の時にずっとアルバイトをしていて、家を出る資金をずっと貯めていました。あんなことを言われたんだから、この4年間で準備しなければとある意味必死でした。大阪にある建築関係の企業への就職も決まり、会社の近くに家を借りて、家を出ていくことを実現させました。

家を借りる時に、保証人には母親になってもらいました。その書類を書いてもらっていた時に、母親から私の名前で作った通帳を渡されたんです。『おじいちゃんから』と言いながら。通帳には最初に少し大きな額が一括で入っていて、さらに、1~3万と変動はあったものの毎月入金されていました。私は聞いていませんが、母親が追加してくれていたんじゃないかなって思っています。もらった時に確認しようと思えばできたのに、妙に恥ずかしくて聞けないまま、家を出てしまったんですよね」

お互いの連絡先、住まいは把握しているものの、そこから疎遠になること15年。再び一緒に暮らすことになるきっかけは母親の認知症でした。

「母親の職場の上司から連絡があったんです。母親が仕事を退職することになって、どうしても気になるところがあるから、と。連絡先は母親が私の電話番号を緊急連絡先に記載してあったからでした。内容は『仕事をしていても物忘れがひどく、それも一時的なものではなくてすっかり頭から消えている感じがする』ということでした。

まさかという思いもあったけど、もう普通に話すことができないんじゃないかと、とても怖くなりました。15年の間で連絡するきっかけなんていくらでもあった。でも、どう接したらいいのかわからなくて、考えること自体を避けてしまっていたんです。その結果、こんなことになってしまって」

【次ページに続きます】

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