日本の文具は日々改良され、世界的にも高品質で高機能を誇る。あまたの文具の中から、使いよく、日々の暮らしに役立つ文具を紹介。優れた文具は、人生を豊かに彩ってくれる。
段ボールの梱包を楽に開封
新型コロナウイルス感染症の拡大で、宅配便の取り扱いが急増している。家で過ごす時間が増え、インターネットの通販で買い物をすることが増えたのが主な要因だ。ヤマト運輸では、本年5月の宅急便の取扱量が1億6498万7396個と、前年同月に比べて19.5%も増加した。サライ世代の家庭でも、ネットで買い物をする機会が増えていることだろう。
ネット通販が増えれば段ボールの開封作業も多くなる。粘着テープでしっかり留められている段ボールは、見た目以上に手強いものだ。手でテープを剥がそうとして指先や爪を痛めることもある。ならば、カッターナイフで開封を、と思っても、荷の中身まで切ってしまわないか心配だ。
そんなときに便利な製品をご紹介したい。段ボールを開封する用具はさまざまな製品が販売されているが、ここでは文具メーカーのコクヨの『ハコアケ』を選んだ。ハサミのスライドスイッチを押してハンドルを握ると、先端に開封用の刃が出てくる。この刃により、軽い力でテープを切ることができ、箱を解体するときは、段ボールにこの刃で折り目をつけると楽にたたむことができる。梱包用バンドなどはハサミでカット。玄関に常備したい製品だ。
段ボールの梱包を楽に安全に開けるための2ウェイハサミ
ハコアケ
コクヨ 1000円・700円
梱包開封用のカッターとハサミが合体した2ウェイタイプ。ハサミの刃の片側先端にくぼみが付けられている。スライドスイッチを押してハンドルを握ると、くぼみに開封用の刃が現れる。ハンドルの握りを緩めると、スライドスイッチが戻り刃が隠れるので安全だ。ハサミは荷造り紐ひもを切るほかに洋服のタグ紐を切るなど、買い物後の整理にも役立つ。長さ177×幅72mm、刃渡り65mm。問い合わせ:0120・201・594
刀鍛冶の伝統が生んだハサミ
もう一品のハサミは、刃物の一大産地として知られる岐阜県関市の丸章工業が手がけた、職人の手作り品だ。ブランド名の「シルキー」は、1974年に誕生した同社を代表するブランド。絹(シルク)がこすれ合うときに出る「シャリシャリ」とした軽快な音のように、なめらかに切れるハサミを目指して名付けられた。
たしかに軽快な音がする。切れ味は鮮やかで、ハサミを閉じると刃先とハンドルが、精密機器のようにピタリと収まる。その感覚がなんとも心地よい。鎌倉時代から続く、刀鍛冶の伝統を受け継ぐ刃物の町で生まれた、家庭用ハサミの逸品だ。
プロの現場を支える技術を家庭用ハサミに投入
Silky(シルキー)
ネバノン NBN-170 丸章工業 3748円
刀鍛冶の流れをくむ岐阜県・関の刃物は、近代になると技術の発展とともに、より精密な加工が可能になり、手術用メスや理容師用ハサミなど刃物を使うプロの現場を支えてきた。この製品には「ハイカーボンステンレス」に特殊な焼き入れとコーティングを施した刃を使用。1000分の1mmの精度で刃付けがされ、刃物職人が念入りに仕上げた。ステンレス刃物鋼6A。長さ170mm、刃の長さ65mm。問い合わせ:0575・22・0259
中身を傷つけずに開封できるレターカッター
家庭で頻繁に開封するものに封筒がある。ハサミを使うと中の書類や手紙まで切れてしまうことがあるので、専用のレターカッターを使いたい。オートの『セラミックレターオープナー コロ』は、左右どちらに動かしても開けられ、切りくずが出ないセラミック刃のカッターだ。誰でも失敗なく開封できる。
耐摩耗性があり快適な切れ味のセラミック刃を使用
セラミックレターオープナー コロ
オート 700円
金属刃の約5倍の耐摩耗性があるセラミック刃を使い、切れ味が長持ちする。開封の際は左右どちらに引いてもよく、封筒の片面のみをカットするので紙くずが出ない。刃が外に出ない構造なので安全。本体の裏側にストラップの通し穴があるので、目立つところにぶら下げておける。対応枚数は約5000枚。幅36×高さ51×厚み9mm。問い合わせ:03・5830・9970
※この記事は『サライ』本誌2020年9月号より転載しました。