取材・文/堀けいこ
気鋭の真打として注目を集める、落語家の春風亭一之輔さん。寄席や劇場を忙しくめぐる毎日を送っている師匠に、旅にも活躍する『アクアスキュータム』の装いを纏っていただいた。ご本人も「洒落てますね!」とご満悦。
東奔西走。全国の寄席や劇場で、客席を沸かせている春風亭一之輔師匠(39歳)。扇子を手にした着物姿がお馴染みだが、今回は落語愛好家もめったに目にすることのない、洋服姿でのご登場を願った。
日々、着物を収めた鞄を抱え電車で移動。はたまた新幹線や飛行機での遠出も多いため、私服は軽快でカジュアルになる。ただ、洋服を選ぶのがなにより苦手。店に居られるのは5分が限界とか。
「旅先で寒くてやむなく上着を買うなんてことも。そんな時は、迷わず黒か紺、グレーを選びます」
ここで師匠が着たのは、英国の老舗『アクアスキュータム』の濃紺のアウター。
「着丈がほどほどで、好みです。ネタ帳や携帯を入れるのに、ポケットがたくさんあるのもいい」
薄い中綿入りのキルティング地は軽く重ね着がしやすいため、秋口から真冬、春先まで活用できる。
「落語家にもお洒落な方はいます。例えば柳家小満師匠。着物も洋服も着せられてる感じがない。あれが粋っていうんでしょうね」
出番15分前、楽屋で着物に着替える一之輔師匠。帯を締め、羽織の紐を結ぶと、気が引きしまるという。「さつまさ」の出囃子で高座に上がるその後ろ姿、粋です。
モデル/春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)
昭和53年、千葉県野田市生まれ。日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。平成16年二ツ目昇進、同24年、真打昇進。同22年度文化庁芸術祭新人賞、24、25年と2年連続で国立演芸場花形演芸大賞。新聞・雑誌の連載、ラジオやテレビでも活躍。『春風亭一之輔の、いちのいちのいち』(小学館刊)など著書多数。
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※この記事は『サライ』本誌2017年11月号より転載しました(取材・文/堀けいこ、撮影/稲田美嗣)