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  1. 大開口窓は開放感が得られると同時に、季節ごとの光と風を取り込むことができる。芝生は建物周辺の温度を下げることが期待でき、庭木は夏の日差しを和らげる効果がある。
  2. 勾配天井により天井高は最高4mを実現。1階と1.5階がゆるく繋がることで、人の気配を感じながら、個室で過ごす感覚が楽しめる。
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住まい

家族が気楽に集える!完全分離型の二世帯住宅【建築家が提案する住まいのヒント】

文・写真/嶌陽一郎(建築家)

近年では、仕事や子育てが終わってひと段落したあとに二世帯住宅を作り孫と暮らすシニア世代が増えています。二世帯住宅にはリビングや水まわりを共用するタイプから全く別にするタイプまで、家族のライフスタイルに合わせて様々な形があります。

ひとつの例として、私が設計を担当した、世田谷区成城の豊かな自然に囲まれた土地に建つ、完全分離型の二世帯住宅をご紹介します。

1階には親世帯のご夫婦、2階には子世帯と孫2人が住んでいます。

二世帯住宅といえば、親世帯と子世帯それぞれのプライバシーが気になるものですが、この家では住空間を完全に分け、世帯ごとの生活を尊重できるようにしました。また内部のつながりなども設けていないため、将来どちらかの階を貸家にすることも可能です。

■ゆったりとした大人の時間を過ごせる空間

親世帯が住む1階には、ゆったりとした大人の時間を過ごせるよう、ご主人が本を読むための4帖ほどの書斎を作りました。上部につけた窓からやわらかな光が差し込むとともに、長年育てているヒメシャラの木陰がかかり、とても気持ちのいい空間です。

ご主人の出身地である長野の豊かな緑の景色を世田谷の自分の庭に再現したいという想いにより、どの窓からもそれぞれ違う種類の木を眺められるようになっているため、いつでも森に囲まれているような気持ちになれます。

キッチンは対面式でダイニングと面しており、その先には縁側が広がります。

奥様が料理をしているときも、ご主人がソファでくつろいでいる時も、大きな窓のデッキの先に広がる庭の桜の景色を眺められます。

この縁側は今ではご夫婦とお孫さんが一緒に過ごしたり、奥様が趣味の油絵を描いたりする大切な家族の場所になりました。

家族が自然と集まるこの場所は、心豊かに暮らすための場所ともいえるのではないでしょうか。

縁側の隣には趣のある和室を設けました。フローリングが普及し減ってきた畳ですが、ここでゆったりと過ごす時間は格別です。

生活しているうちに目にしたり肌に触れたりする内装の部分にも、8種類ほどの木や漆喰などの昔からある素朴な自然素材をふんだんに使いました。

ビニールやプラスチックにはない、思わず触れてみたくなるような温もりのある素材感に囲まれて、自然に寄り添う穏やかな暮らしをおくることができます。

■家族がいつでも集える家

一方、息子さんの世帯は以前マンションに住んでおり、共働きで忙しい生活を送っていました。そんな中で第一子が誕生したことを機に、家族みんなが近くにいることのできる家を建てる決意をしたそうです。

子世帯が住む2階も、1階と同じように、窓の外のケヤキや桜などのたくさんの木々を眺められ、まるで森の中にいるようなあたたかい空間です。斜めの天井には木材が張られており、温もりのある大きな屋根に包まれているような気持ちになります。

リビングの先は広々としたスカイデッキになっており、休日には家族や友人を招いてバーベキューを楽しんでいます。

ご飯を食べるときも、ちょっとしたイベントをするというときも、じゃあ家族みんなでやろう!と気軽にお互いを呼べるのも二世帯住宅の良いところといえるでしょう。

おじいちゃんやおばあちゃんとすぐ会えるのは、お孫さんにとっても嬉しいことだと思います。

■家族みんなで暮らすシアワセ

この家では、2つの家族が同じように、季節ごとに変わってゆく景色を眺めながら生活しています。

普段の生活では、それぞれの時間を楽しめるような、つかず離れずの適度な距離感を保てるため、互いのライフスタイルは尊重したまま暮らすことができます。

春は庭の桜が咲いた美しい景色が眺められ、1階は縁側から、2階はスカイデッキからお花見ができます。

自然に囲まれて暮らしている中で、家族のあたたかさやつながりを強く感じられ、絆もどんどん深まっていくことでしょう。この家には人生を彩り豊かにするものがたくさんちりばめられているのです。

■二世帯住宅設計のコツ

このように良いこと尽くめの二世帯住宅ですが、プランニングや打ち合わせをするなかで、2つの世帯でそれぞれこだわりがあり、意見がうまくまとまらないことが多くあります。

そこで第三者である建築家が間に入り、お互いの意見を引き出してまとめていきます。そんな潤滑油のような役割を果たすのも私たちの仕事です。

二世帯住宅を設計するときには、住む人全員が集まっての打ち合わせだけでなく、それぞれの世帯と別々に打ち合わせをするようにしています。これが一つ目のコツです。

もう一つのコツは、「お嫁さん」の意見を尊重することです。お嫁さんは外から新しく入った家族で、意見を出すときも遠慮しがちな立場にいますが、家を一番長く使うのはお嫁さんなのです。その家に一番身近な人が使いやすい家を作り、居心地良い場所にするのは良い二世帯住宅をつくる上でとても大切な事です。

*  *  *

双方のこだわりが合わさって一つの家が建った時の感動は大きいです。実は私も、27歳の時に自分で設計した二世帯住宅に、今も家族と両親で住んでいますが、家族が近くにいる安心感は大きいものです。

完成以後も1年ごとの毎年点検を行っており、成長する家と家族の暮らしを楽しみにしています。訪れるたびに家族の暮らしと家がなじんで変化していっており、家を大切にしてくれていることをしみじみ感じます。

文・写真/嶌陽一郎(建築家)
1975年、神奈川県生まれ。2001年、一級建築士事務所「DIG DESIGN」設立。二世帯住宅や木造住宅を主に建築設計を手がけている。公式サイト http://www.digdesign.jp/

【この建築事例に関するお問い合わせ】
アーキテクツ・スタジオ・ジャパン
電話:03-6848-9500
http://www.asj-net.com

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