片岡球子《面構 狂言作者河竹黙阿弥・浮世絵師三代豊国》〔1983年 紙本着彩 神奈川県立近代美術館蔵〕

片岡球子《面構 狂言作者河竹黙阿弥・浮世絵師三代豊国》〔1983年 紙本着彩 神奈川県立近代美術館蔵〕

力強い筆致と鮮烈な色彩で強烈な個性を放ち、戦後の日本画を刷新した日本画家・片岡球子(1905-2008)の回顧展が、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館にて開催されています。

1989年に文化勲章を受章するなど、高い評価を確立している片岡球子。なかでも本展でとりあげる<面構>(つらがまえ)シリーズは、京都の等持院で足利一族の木像に出会い、度量の深い人間の“面”に惹かれて描き始めたもので、1966(昭和41)年の院展に《面構 足利尊氏》《面構 足利義満》《面構 足利義政》を出品してから40年、ライフワークとして描き続けた代表作です。

片岡球子《面構 足利尊氏》〔1966年 紙本着彩 神奈川県立近代美術館蔵〕

片岡球子《面構 足利尊氏》〔1966年 紙本着彩 神奈川県立近代美術館蔵〕

本展の見どころを、神奈川県立近代美術館鎌倉別館の広報担当、松尾子水樹さんにうかがいました。

「神奈川県立近代美術館と片岡球子さんとの縁はとても深いものがあります。1964年に神奈川県立近代美術館鎌倉で開催された「戦後の現代日本美術」展に《幻想》が初めて出品され、翌年の「第8回日本国際美術」展(東京都美術館)に出品された《火山(浅間山)》を、当時当館館長だった土方定一が注目し、神奈川県立近代美術館賞を授賞したことが結びつきを深くしました。

1979年に初の回顧展、2005年には100歳を記念する大規模な回顧展を開催しました。当館が所蔵する片岡作品は、その長い画業の展開をほぼ辿ることのできる作品群となっています。

本展では、伝統を踏まえながらも現代的な日本画を作り上げた片岡球子が、独自の解釈で武将や絵師といった歴史的人物像を描きだした代表作<面構>シリーズ約20点を、再評価の高まる大髙正人建築の重厚で落ち着いた空間で存分にご鑑賞ください」

人気が高く展覧会カタログが完売する片岡作品、本展にあわせて当館所蔵の片岡球子作品目録も発売されます。どうぞお楽しみに。

神奈川県立近代美術館のサイトはこちら

【片岡球子展 面構シリーズを中心として】
■会期/2016年7月30日(土)~9月25日(日)
■会場/神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
■住所/神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
■電話番号/0467・22・5000
■料金/一般600(500)円 20歳未満・学生450(350)円 65歳以上300円 高校生100円 ( )内は20名以上の団体料金 ※中学生以下無料、障がい者手帳所持者と介護者1名は無料
■開館時間/9時30分から17時まで(入館は16時30分まで)
■休館日/月曜日(ただし9月19日は開館)
■アクセス/JR横須賀線・江ノ島電鉄線鎌倉駅下車、鶴岡八幡宮・北鎌倉方面へ徒歩約15分

取材・文/池田充枝
1989年「サライ」の創刊時より歴史資料の調査や展覧会情報を中心にフリーランスで「サライ」の取材・執筆に携る。

 

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