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選評/林田直樹(音楽ジャーナリスト)

風のような軽やかさと、深い味わいが楽しめるのが『J・S・バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集』だ。

奏者のイザベル・ファウストは現代ドイツを代表する、世界最高のヴァイオリニストのひとり。クリスティアン・ベザイデンホウトはフォルテピアノやチェンバロのようなピリオド楽器(作曲家生存当時のオリジナル楽器もしくは復元楽器)を扱わせたら、その自在な扱いにおいて随一の名手。バッハのヴァイオリン曲というと無伴奏が有名だが、チェンバロを伴う6曲のソナタ集も、それに負けないくらいの名作である。

ファウストのヴァイオリンは、たったひとつの音であっても、その始まり、膨らみ、減衰、そして終わりへと結んでいく、その形が美しい。澄み切った空気がピリリと伝わってくる、響きの清涼感が心地よい。こうした、気持ちをまっすぐに整えてくれるバッハは、日常の心の糧として、常に座右に置きたいものである。

【今日の一枚】
『J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集』/span>
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)、クリスティアン・ベザイデンホウト(チェンバロ)
2016年録音
発売/キングインターナショナルHarmonia Mundi
電話/03・3945・2333
商品番号/HMM-902256~57(2枚組)
販売価格/3000円

文/林田直樹
音楽ジャーナリスト。1963年生まれ。慶應義塾大学卒業後、音楽之友社を経て独立。著書に『クラシック新定番100人100曲』他がある。『サライ』本誌ではCDレビュー欄「今月の3枚」の選盤および執筆を担当。インターネットラジオ曲「OTTAVA」(http://ottava.jp/)では音楽番組「OTTAVA Salone」のパーソナリティを務め、世界の最新の音楽情報から、歴史的な音源の紹介まで、クラシック音楽の奥深さを伝えている(毎週金18:00~22:00放送)

※この記事は『サライ』本誌2018年4月号のCDレビュー欄「今月の3枚」からの転載です。

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