■叶わなかった西郷の助命運動

こうしたなか、薩軍の中には、西郷の助命を画策する動きがあらわれた。西郷の愛弟子のひとり河野主一郎は、助命の件は伏せたうえで、西郷に「このたびの戦いの大義がわれらにあることを政府軍に述べてまいります」と述べると、西郷は「よろしい」と軍使を許可した。

9月22日、軍使に立った河野と、同じく薩摩人の山野田一輔の両名は、白旗をかかげて政府軍に赴き、川村純義中将と面談した。

川村は「もはや手遅れだ。総攻撃は24日午前4時と決定している。もし西郷が私にどうしても会いたいというなら本日午後5時までにこちらに来ること」と言い渡し、河野は人質として勾留され、山野田ひとりが帰された。

山野田が西郷に報告すると、西郷は「回答の要なし」と答えた。その夜、岩崎谷では西郷を囲んで訣別の宴が催された。

そして運命の日へ、次ページに続きます。

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