「自由とワガママとの境とは…」(福沢諭吉)【漱石と明治人のことば6】

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今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】

「自由と我儘(わがまま)との界(さかい)は、他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり」
--福沢諭吉

人間、誰しも自由でいたいと思うものだが、自己の自由を追求していくと、時として他者の自由と衝突する。それでもなお、遮二無二押し通そうとするのはわがままになる。そこは道徳心をもってコントロールするのが大人の責任だし、暴走を止めるための社会的なルールや規制が設けられることにもなっていく。

福沢諭吉が『学問のすすめ』の中に綴った掲出のことばは、至極当たり前のことのように思えるが、旧い秩序がこわされ、新しく近代社会が構築されようとする狭間にあって、自由とわがままを取り違えた行為が目につくところもあったのだろう。

翻って平成の今はどうか。最近、東大、千葉大、慶大といった一流の大学で、男子学生が集団で女性を傷つける暴走をするという呆れたニュースが流れている。慶応義塾の創始者としても知られる福沢諭吉は、地下でどんな顔をしているだろうか。

ちなみに、漱石は早稲田大学の前身たる東京専門学校の教壇に立っているが、慶応義塾との縁は薄く、依頼された講演も多忙のために断っている。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

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