映画や本、そして最近では動画配信やPodcastなど、世界中の言語や物語に触れられる時代になりました。英語を学ぶ私たちにとって、自然な会話を耳にする機会がぐんと増えたように感じます。けれど、日常会話の中には、直訳すると「えっ?」と驚くような表現がたくさんありますね。

今日は、単語だけでは意味を想像しにくいフレーズ、“hit the books”  をご紹介します。

“hit the books”の意味は?

“hit the books” を直訳すると、

“hit” は(打つ)、 “books” は(本)ですが……、そこから転じて

正解は……
「勉強する・猛勉強する」

の意味があります。

試験前や資格の勉強など、集中して勉強する場面でよく使われるカジュアルな表現です。

『ランダムハウス英和辞典』(小学館)には、「((米話)) 熱心に勉強する.」と書かれています。

例えば、

1. “I need to hit the books tonight. I have a test tomorrow.”
(今夜は勉強しないと。明日テストがあるんです。)

2. “I haven’t hit the books in weeks. I really need to catch up.”
(もう何週間も勉強していない。ほんとうに取り戻さないと。)

などのように使うことができます。

“hit” の意味は?

英語の “hit” と聞くと、「打つ」「叩く」という動作が思い浮かびます。それに加えて、比喩的な使い方で、勢いよく「何かに真剣に向き合う」「行動に移す」というニュアンスで使われることもあります。ここではその感覚から生まれたイディオムの中で、日常でよく耳にするフレーズを3つご紹介します。

1. “hit it off” — 気が合う・意気投合する

“Hit it off” には、人と出会ったときに、「気が合う」「意気投合する」という意味があります。カジュアルで、日常会話でよく使われます。

“We hit it off as soon as we met.”
(私たちは会った瞬間から気が合いました。)

“They really hit it off at the party last night.”
(彼らは昨夜のパーティーで意気投合した。)

2. “Hit it!” — 音楽などの開始を合図する言葉

“Hit it!” は、ミュージカルやライブ、ダンスなどの場面で、「スタート!」や「いこう!」という合図として使われる短いフレーズです。

“Are you ready?” — “Yeah! Hit it!”
(準備できた? ― うん!始めて!)

“Once the lights turned on, the director said, “Hit it!”
(ライトがつくと、監督が「スタート!」と言った。)

3. “hit the road” → 出発する(出発に勢いをつけるイメージ)

「旅に出る」「出かける」などの意味があります。

“It’s getting late. We should hit the road.”
(そろそろ遅くなってきたし、出発しよう。)

“She hit the road with just a backpack and no plan.”
(彼女はバックパックひとつで、あてもなく旅に出た。)

他の言語で「勉強する」は?

英語の “hit the books” には、「試験のために本腰を入れて勉強しなくては」という、少し切羽詰まったような響きがあります。日本語でも「ガリ勉する」「机にかじりついて勉強する」という表現がありますね。

では、ほかの言語ではどのように言うのでしょうか。それぞれの言語を話す友人たちに、今も日常で使われている表現を教えてもらいました。

トルコ語では、
“Kitaplara gömülmeliyim.”
(本の中に埋もれなきゃ)

そのまま訳すと、「本の下に自分を埋める」という意味になり、完全に没頭して勉強する雰囲気が伝わってきます。

フランス語では、
“Je dois potasser.”
(勉強しなきゃ。本腰入れて勉強しないと。)

この “potasser”(ポタセ) には、「煮込む」「じっくり煮詰める」というニュアンスがあるそうです。料理の比喩が入っているところが、どこかフランスらしく感じられますね。

メキシコ(スペイン語圏)では、
“quemarse las pestañas.”
(まつげを燃やす)

この表現には思わず驚きました。「まつげが焼けるほど夜更けまで、眠気と向き合いながら勉強する」。そんな必死さや熱量が、ぎゅっと詰まって、ドラマチックでおもしろいと思いました。

最後に

言葉が変わると、「勉強する」という比喩のかたちも変わります。それぞれの文化が育んできた勉強の姿や空気感が感じられ、とても興味深いです。きっと、世界にはまだ私たちが知らない表現がたくさんあるのだと思います。どの言語でも、「やりたくないけど、やらなくちゃ」と思いながら机に向かう姿があるのだと思うと、なんだかちょっとおかしくて、そして励まされるようにも感じます。

“All right, everyone — time to hit the books!”
(さあ、みなさん、そろそろ勉強を始めましょう!)

次回もお楽しみに!

●執筆/池上カノ

日々の暮らしやアートなどをトピックとして取り上げ、 対話やコンテンツに重点をおく英語学習を提案。『英語教室』主宰。 その他、他言語を通して、それぞれが自分と出会っていく楽しさや喜びを体感できるワークショップやイベントを多数企画。
インスタグラム

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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