英語は、世界のさまざまな地域で話され、地域特有の発展を遂げながらも共通のコミュニケーション手段として使われています。そのため、英語を学ぶことは、新しい人々と出会ったり、多様な文化や情報に触れたりするための一つの扉となるかもしれません。

一方で、英語学習を始める際に、何から手をつければよいのかわからない、と不安を感じる方もいるでしょう。この連載ではそんな英語を学ぶ魅力を少しでもお伝えできればと思います。

さて、今回ご紹介するのは“You name it.”です。

目次
“You name it.」の意味は?
世界で「名前(なまえ)」はなんと言う?
“What’s in a name?」 (名前になんの意味がある?)
最後に

“You name it.”の意味は?

“name”には「名前」のほかに、動詞として「名付ける」「示す」などの意味がありますが……、そこから転じて

正解は……
「なんでも言って」という会話表現です。

同類のものを並べた前や後ろに使われます。動詞の“name”には「選ぶ」という意味もあり、「選べる」ことから「なんでもあるよ」という意味になるのです。

相手が希望するものを「自由に言っていいよ」というニュアンスや、そのほか「何でもありますよ」というときなどに使います。

『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)には、「((話)) (必要なものは)何もかも,全部;なんでも言ってみなさい」と書かれています。

たとえば、
A:I’m starving. Is there anything to eat?(お腹空いたなあ。何か食べるものある?)
B: I can make anything—Japanese, Italian, Chinese—you name it! (何でも作れるよ。和食、イタリアン、中華。なんでも言って!)

また、
A:What kind of music do you like?(どんな音楽が好きですか?)
B:I enjoy all sorts of music—classical, rock, enka—you name it!(いろいろな音楽が好きですよ。クラシック、ロック、演歌、どんなジャンルでも。)

などというように使うことができます。

世界で「名前」はなんと言う?

以前、ネパールを旅した際、ヒンディー語で「名前」を「ナーム」と呼ぶことを知り、日本語の「なまえ」と響きが似ていることに驚きました。

英語の “name”は、フランス語では“nom”、スペイン語は“nombre”といいます。英語の“name” の由来をたどると、ゲルマン祖語の namōn-”からきたそうです。さらにその起源は、インド・ヨーロッパ祖語にまでさかのぼるとされています。このように、もともと同じ語根を持つため、これらの言語の間で似ている点が見られるのは自然なことなのかもしれません。

一方で、日本語の「名前」における「前」は、「名」に敬称の意味を添えるために加えられたとのこと。「名前」そのものはひとつの言葉ではなかったそうです。

言葉の響きや意味が似通っていることに、普遍的な神秘を感じたくなりますが、現時点では偶然の一致とみなすのが一般的な見解です。

“What’s in a name?” (名前になんの意味がある?)

イングランドの劇作家、詩人であるウィリアム・シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の有名なセリフに、

A rose by any other name would smell as sweet.

わたしたちがバラと呼ぶものは
どんな名前であっても
その香りは変わらない

があります。ここでも“name”が使われていますね。ロミオとジュリエットは敵対する家系に生まれたため、結婚を許されませんでした。このジュリエットのセリフは、ロミオをバラにたとえ、名前が変わっても彼を愛する気持ちは変わらないことを訴えています。

大切なのは名前ではなく、中身そのものであるというこの言葉は、英語圏で今でもよく知られ、引用されています。『ロミオとジュリエット』は400年以上も前の戯曲ですが、現代にも深く響く表現ですね。

最後に

“You name it!”は、日常会話でよく使われる表現です。たとえば、「なんでもリクエストしていいよ」という時や、「AやBやCなど、いろんな選択肢があるよ。何でも言ってみて」と、可能性を広げる場面で使われます。

たとえば、こんなふうにも使えます。

“What’s the best way to learn English?
Is it through online courses, podcasts, watching movies, or making new friends?
You name it!

(英語学習に最適な方法はありますか?
オンライン学習、ポッドキャスト、映画を観ること、それとも友だちを作ること?
《どんな方法があるか》なんでも言ってみて。)

機会があれば、ぜひ使ってみてくださいね。

次回もお楽しみに!

●執筆/池上カノ

日々の暮らしやアートなどをトピックとして取り上げ、 対話やコンテンツに重点をおく英語学習を提案。『英語教室』主宰。  京都祇園にある建仁寺塔頭両足院をベースに、ひとつのテーマについて英語で語りあう『うごく哲学』を対面とオンラインで定期開催。その他、他言語を通して、それぞれが自分と出会っていく楽しさや喜びを体感できるワークショップやイベントを多数企画。

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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