歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして……。うっかり漢字の読み⽅なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の⽅は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて……」なんて⾔い訳をするようでは、サライ世代の沽券に関わる?
「脳トレ漢字」今回は、「肌理」をご紹介します。ご自分の肌に触れながら漢字への造詣を深めてみてください。

「肌理」は何と読む?
「肌理」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「きめ」です。
「きり」とも読みますが、「きめ」と読むのが一般的です。
『小学館デジタル大辞泉』では「皮膚や物の表面の細かいあや。また、それに触れたときの感じ」とあります。
「きめ」という言葉は、私たちの肌の状態を表す際によく使われます。「肌のきめが細かい」「きめが粗い」といった表現は、日常会話でもおなじみですね。そのほかにも、布や紙、木材などの表面の細かさ、つまり「質(しつ)」や「目(め)」の細やかさを指す場合にも用いられます。

「肌理」の由来
「肌」という字は、ご存じの通り「皮膚」や「表面」を意味します。一方の「理」という字には、様々な意味が含まれています。例えば、「道理」「理由」のように、物事の筋道や道理を表すこともあれば、「物理」のようにものの本質や法則を指すこともあります。
そして、特に重要となるのが「木目」や「紋理」といった、物体の表面に現れる細かな筋目や模様を指す意味です。自然界のものが持つ、均整のとれた、それでいて一つとして同じもののない、細やかな構造を表すのです。
この「肌」と「理」が合わさることで、「肌理」は「肌や物の表面に現れる、細かく整った筋目や凹凸」という意味を持つようになりました。単に滑らかであるだけでなく、その中に微細な秩序や美しさがある状態を指し示しているのです。
美肌の鍵「肌理」
「肌理」という言葉は、美容業界では常に注目の的です。最新の肌診断技術では、マイクロスコープを用いて肌の「肌理」の細かさや整い具合を詳細に分析し、その人に合ったスキンケア方法を提案しています。
規則正しく並んだ「肌理」は、肌のバリア機能が正常に働き、潤いを保つ能力が高い証拠。まさに、健やかで美しい肌の象徴といえるでしょう。
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いかがでしたか? 今回の「肌理」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 肌理が細やかな肌は、その人の健康や暮らしの質の表れでもあります。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
