歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして…。うっかり漢字の読み方なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の方は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて…」なんて言い訳をするようでは、サライ世代の沽券に関わる?
そんなことにならないように、動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。
「脳トレ漢字」第60回目は、「生蕎麦」をご紹介します。そば好きの方には馴染み深い言葉かもしれません。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
■「生蕎麦」はなんと読む?
「生蕎麦」という漢字、読み方に心当たりはありますか? ついつい「なまそば」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「きそば」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「そば粉だけで打ったそば。また、小麦粉などの混ぜものが少ないそば」と説明されています。「十割そば」の別名です。
江戸時代中期以降、多くの店がそばのつなぎをよくするために小麦粉を使用し始めました。その時に、高級店がつなぎのない「そば粉だけのそば」を強調する謳い文句として「生蕎麦」を使うようになったとされています。
■「生蕎麦」の漢字の由来とは?
「生蕎麦」を構成する漢字を見ていきましょう。「生(き)」とは「混じり気のない」といった意味の言葉。「生醤油」「生糸」にもみられるように、自然のままという意味を表す接頭表現です。そのため、「生蕎麦」は「そば粉だけで、混ぜもののはいらないそばのこと」を指す言葉といえます。
ちなみに「蕎麦」の語源は諸説あります。代表的なのは、原料である「そば麦」の形に由来するものです。そばの実は、三角形で突起状になっています。そこで「とがったもの」「物のかど」を意味する「稜」(そば)から、「そば麦」と名づけられ、それを用いた麺を「そば」と呼ぶのだと言われています。
他には、畑のソバ(旁)に植えることからという説や、山の険しいところを意味する岨(そば)で育つからという説もあります。
■「生蕎麦」と「生(なま)そば」の違いは?
実は、「生蕎麦」と書いて「なまそば」と読む場合もあります。この場合、乾麺のお蕎麦に対して、茹でる前の生麵や水分を含んだ麺である「生(なま)そば」を指します。“打ち立てのお蕎麦を出しています”というアピールで、「生(なま)そば」を掲げるそば屋もあります。
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いかがでしたか? 今回の「生蕎麦」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? まだまだ暑い季節。冷たいお蕎麦を味わう際には、言葉の意味も一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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