
デジタル全盛になりフィルムカメラは時代遅れになっていましたが、アナログの魅力が再評価され注目を集めています。アナログ人気の理由のひとつは「柔らかさ」です。デジタルのクリアな画質と異なり、アナログ特有の温もりを感じる「トーン」は趣深さがあります。
フィルムカメラは露出やピントを手動で調整するため、集中力を高めてシャッターを押します。その緊張感の中で撮った1枚1枚が記憶として残ります。
現像が仕上がるまで何が写っているかわからない不安と期待は、フィルム撮影の醍醐味です。現像が仕上がった写真をみると、撮影した時の過去と現在の「時間旅行」は脳の活性化も期待できます。
プロのカメラマンの筆者でさえフィルムカメラの操作は緊張します。間違えるとせっかくのシャッターチャンスも失敗作に。もどかしさの中で会心作を狙うのが、写真趣味の面白さです。
フィルム1本の限られた枚数を丁寧に撮り、写真作品として残すのはいかがでしょうか。筆者が日課としている1日8000歩のウォーキングにて、フィルムカメラで撮ったスナップ写真を紹介します。


大手フィルムメーカーに加え、独立系フィルムメーカーも参入し多彩な種類を販売。昭和をイメージしたレトロ調な発色をするフィルムもあり、今の若い世代には懐かしい雰囲気が新鮮に感じるようで人気が高まっています。







フィルム現像のオプションでデジタルデータ化サービスも


今年は昭和100年の節目 昭和に思いを馳せて写真作品を残す
36枚撮りフィルムを1日で撮り切り、一週間後にフィルム現像に出しました。一週間を経て回想すると1枚1枚の記憶が甦ります。自信作が撮れたと思っていたら失敗作になり、カメラぶれのミスは偶然的な芸術作品に。フィルム1本36枚分の記憶は意外と覚えており、その時のことは情景として記憶が甦ります。照り付ける夏の日差し、雨上がりの湿った空気。忘れかけていた一週間前の過去を回想し、時間差で振り返ることにより記憶を呼び戻します。シャッターチャンスを逃したことやカメラ設定を間違えたこと、失敗したところはハッキリと覚えています。うまくいかないところも趣味のエッセンスです。
今年は昭和元年から数えて100年の節目になります。古き良き昭和の時代に思いを馳せてフィルムカメラで写真作品に残してはいかがでしょうか。
文・写真/福永仲秋
自動車や腕時計など、光沢の美しさを引き出す撮影を得意とするカメラマン。また、来日する国賓の公式写真撮影を担当。撮影テクニックをカメラ雑誌で紹介しながら写真の魅力と楽しさを広く伝える活動に取り組んでいる。
