装飾芸術家、エミール・ガレ(1846-1904)は、フランス北東部ロレーヌ地方の古都ナンシーで、父が営む高級ガラス・陶磁器の製造卸販売業を引き継ぎ、ガラス、陶器、家具において独自の世界観を展開し、輝かしい成功をおさめました。
ガレの没後120年を記念して、サントリー美術館で開催される「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」は、ガレの成功への道のりを作品とともに辿る展覧会です。(2月15日~4月13日)
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本展の見どころを、サントリー美術館の担当学芸員、林佳美さんにうかがいました。
「ガレが生涯を通じて生産拠点としたのは故郷ナンシーでしたが、ガレの国際的な成功は首都パリでの活動があってこそ得られたものでした。本展覧会では、ガレとパリのかかわりに注目しながら、ガレの創作の軌跡をたどります。
その軸となるのは、パリで開催された万国博覧会です。父シャルルの代から、ガレ商会は万博への出品に力を入れていました。多くの国の人が集う万博に出品し、評価を得ることは、国際的な飛躍に繋がるチャンスだったのです。ガレは1878年・1889年・1900年にパリで開かれた万博に参加し、輝かしい成果をあげています。
本展では、フランスのパリ装飾美術館が所蔵する、この3度のパリ万博に実際に出品されたガラスや陶器作品もご覧いただけます。
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パリにおけるガレの特筆すべき活動として、パリの代理店などを通じた販売促進と社交界との繋がりにもぜひご注目ください。ガレはパリに店を構えるデグペルス父子と委託販売契約を結び、パリでの販売に注力しました。
このデグペルス家に伝来した貴重な資料が近年サントリー美術館の収蔵となり、本展でその一部を初公開します。また、パリの社交界との繋がりはガレが大成功をおさめた1889年のパリ万博以降に大きく広がりました。パリの社交界の中心人物ロベール・ド・モンテスキウ=フザンサック伯爵や、小説家のエドモン・ド・ゴンクール、高官のロジェ・マルクスなど、パリにおけるガレの人脈を物語る作品も本展の見どころです」
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ガラス、陶器、ガレ自筆文書など、計110件が一堂に会する圧巻の展覧会です。会場でじっくりご鑑賞ください。
【開催要項】
没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ
会期:2025年2月15日(土)~4月13日(日)
※作品保護のため、会期中展示替えをします。
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
電話:03・3479・8600
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/
開館時間:10時~18時、金曜日及び3月19日(水)と4月12日(土)は~20時
(いずれも入館は閉館30分前まで)
休館日:火曜日(4月8日は18時まで開館)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝
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