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ガラス技法の粋が見られる吹きガラスは、紀元前1世紀中頃、ローマ帝国下の東地中海沿岸域に始まると言われています。この時代はまだ道具が限られていたこともあり、よく見ると作品には制作にかかわる痕跡がいたるところに残されています。

その後約2000年、美の追求に飽くなき努力が重ねられ、吹きガラスは洋の東西で様々な発展をとげました。

藍色ちろり 日本 18世紀 サントリー美術館蔵

吹きガラスの歴史が概観できる展覧会です。(4月22日~6月25日 於:サントリー美術館)

本展の見どころを、サントリー美術館の学芸員、林佳美さんにうかがいました。

「吹きガラスは、ドロドロに熔けた熱いガラスに息を吹き込み、風船のように膨らませて器を作る技法です。直接手で触れることなく器を形づくる吹きガラスは、ガラスという素材の性質を活かした、まさにガラスならではの技法といえます。

三連瓶 東地中海沿岸域 2~3世紀 岡山市立オリエント美術館蔵

紀元前1世紀に遡る吹きガラスの登場によって、ガラス容器の生産・流通が大きく変化しただけでなく、ガラスならではの〈かたち〉が開花しました。本展覧会では、そのような吹きガラスならではの表現を生み出した作り手の〈技〉に注目しながら、古今東西の特色ある吹きガラス作品をご覧いただきます。

船形水差 イタリア 16~17世紀 サントリー美術館蔵
籠目文赤縁碗形氷コップ 日本 20世紀 個人蔵

また、現代のガラス作家や研究者とのコラボレーションも本展の特徴のひとつ。現代ガラス作家による「作家目線の見どころ解説」や、本展にあわせて実施した当館所蔵《藍色ちろり》の技法研究などを通じ、かつての名もなき吹きガラス職人たちの創意工夫に迫ります。

しろの くろの かたち 2022 小林千紗 2022年 作家蔵

作り手目線で作品を味わいながら、吹きガラスの魅力をぜひ再発見ください」

吹きガラスならではの形、色合い、光沢を会場でじっくりご堪能ください。

【開催要項】
吹きガラス 妙なるかたち、技の妙
会期:2023年4月22日(土)~6月25日(日) ※会期中展示替えあり
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
電話:03・3479・8600
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/
開館時間:10時から18時まで、金・土曜日および5月2日~4日は20時まで(いずれも入館は閉館30分前まで)※開館時間は変更する場合があります。最新情報は公式サイトで確認してください。
休館日:火曜日(ただし5月2日は20時まで開館、6月20日は18時まで開館)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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