正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google 先⽣やデジタルデバイスの出現により、便利になった反⾯、情報の中⾝については⼗分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第236回は、「世迷言」をご紹介します。使われている漢字から何となく意味は類推できそうですが、そのまま「よめいげん」とは読みません。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「世迷言」とは何とよむ?
「世迷言」の読み方をご存知でしょうか? 「よめいげん」ではなく……
正解は……
「よまいごと」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「わけのわからないぐちや不平。繰り言。」と説明されています。人の発言や意見を罵ったり、馬鹿にしたりすることも指すそうです。
また、類義語として「戯言」「ぼやき」「泣き言」などが挙げられます。
「世迷言」の漢字の由来は?
「世迷言」は当て字で、元は「やまひ(病)ごと」という意味で使用されていたと考えられています。これが転じて「訳の分からない愚痴」「繰り言」という意味になったと考えられます。また、「世迷い言」と表記されることもあり、しばしば「よまよいごと」と読まれていますが、正しくは「よまいごと」です。
面白い当て字
先述の通り、「世迷言」は当て字であると考えられています。当て字とは、その字の意味に関係なく漢字を当てることです。何となく、キラキラネームのような奇抜なものを想像してしまいますが、馴染み深い言葉の中にも、当て字と考えられているものが数多くあります。
例えば、「珈琲(コーヒー)」が挙げられます。「珈」は髪に挿す花かんざしを意味し、「琲」はかんざしの玉を繋ぐ紐のことです。最初に「珈琲」という表記を考案したのは、幕末の蘭学者・宇田川榕菴(うだがわ・ようあん)とされ、コーヒーの木に実った赤い実が女性のかんざしに似ていたことに由来すると考えられています。
また、「寿司」という字も江戸時代頃に生まれた当て字で、すっぱいという意味の「酢し」が語源であると考えられているそうです。「鮨」と表記されることも多いですが、これは「魚を使った旨い料理」という意味で生み出されたという説もあります。
ほかにも、古代中国で使われていた緯度測定器「土圭」の当て字として生まれたとされる、「時計」が挙げられます。「時計」以外にも、「斗鶏」「自鳴鐘」「斗景」など、様々な当て字があったそうです。
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いかがでしたか? 今回の「世迷言」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 「ポン酢」の「ポン」が、オランダ語で柑橘類を意味する「pons」に由来するという説のように、漢字以外でも当て字とされている言葉は複数あります。
普段よく使われている言葉の中にも意外な当て字はたくさんあるので、ぜひ調べてみてくださいね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)