正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google 先⽣やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中⾝については⼗分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第212回は、「凄惨」をご紹介します。新聞やニュースなどでよく目にする言葉ですが、そのまま読み飛ばしてしまっているかもしれませんね。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「凄惨」とは何とよむ?
「凄惨」の読み方をご存知でしょうか? 「せいざん」ではなく……
正解は……
「せいさん」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「目をそむけたくなるほどいたましいこと。ひどくむごたらしいこと。また、そのさま。」と説明されています。ニュースや新聞で、「凄惨な事件現場」などのように使われることが多いです。
「せいざん」と読まれてしまうこともありますが、正しくは「せいさん」です。
「凄惨」の漢字の由来は?
では、「凄惨」の成り立ちについて見ていきましょう。まず、「凄」という漢字は「氷」を意味する部首「にすい」が使われており、氷が冷たい様子を表しているそうです。それが転じて、「心がさみしい」「悲痛」という意味を持つようになりました。
そして、「惨」は「針のように突き刺す」「深くしみ込む」という意味を持ち、「心が痛む」「ひどく悲しい」という意味として使われるようになったそうです。この二つの漢字を組み合わせることで、「目をそむけたくなるほど痛ましい」という意味が生まれたと考えられます。
本州で唯一、熊がいない県
夏休みに入り、高速道路や新幹線は連日のように混雑しています。皆さまの中には、帰省や家族旅行に出かけられる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか? キャンプや登山など、レジャーを楽しむ際に注意したいのが、獣害です。
代表的なもので言えば熊が挙げられ、山の食料が少なくなる夏は、熊が活発に動き回ると考えられています。「山で男性のオーイという声がしたら、素早く避難する」「目を見てゆっくり後ずさりする」など、熊の対処法は複数ありますが、実際に遭遇したら頭が真っ白になってしまうかもしれません。
過去に凄惨な事故も発生しており、非常に恐ろしい猛獣の熊ですが、本州で唯一生息していない県があります。それが、千葉県です。縄文時代の遺跡がある千葉県では、イノシシや鹿の骨は出土していますが、熊の骨は発見されておらず、記録もありません。つまり、縄文時代以降、千葉県には熊が生息していないことになるのです。
理由の一つとして、地理的条件が挙げられます。平坦な地形の千葉県には高い山がなく、熊の生息に適した山間部が限られています。また、千葉県の房総半島はかつて、「縄文海進」(気温上昇により、海面が上昇した現象)により、島になっていたそうです。
そのため、行動範囲の広い熊は生息できなかったと考えられているのです。
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いかがでしたか? 今回の「凄惨」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 九州地方にも熊はいないそうですが、ここまで長い間目撃されていないのは千葉県だけとされます。
近くの東京や埼玉にもいるのに、千葉県にだけいないというのは、自然の不思議を感じさせられますね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)
『新選漢和辞典』(小学館)
『千葉日報』