アメリカのミシガン州デトロイトは、自動車産業で栄えた街。デトロイト美術館は1885年の創立以来、自動車業界の有力者らの資金援助を通じて、古代エジプトから現代美術まで6万5000点以上を有する、世界屈指のコレクションを誇る美術館として成長してきました。アメリカでゴッホやマティスの作品を購入した初めての美術館として知られるように、コレクションの中核をなすのが印象派、ポスト印象派の作品です。

フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》〔1887年〕City of Detroit Purchase

フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》〔1887年〕City of Detroit Purchase

 

そんなデトロイト美術館の所蔵作品を展示する「デトロイト美術館展 ~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~」は、19世紀後半から20世紀にかけて名を馳せたヨーロッパ絵画の巨匠たちの傑作から選りすぐりの52点を紹介します。

本展は、デトロイト市と姉妹都市を提携している愛知県の豊田市美術館(4月27日~6月26日)からスタートし、大阪市立美術館(7月9日~9月25日)、上野の森美術館(10月7日~2017年1月21日)と国内3会場を回ります。

アンリ・マティス《窓》〔1916年〕City of Detroit Purchase

アンリ・マティス《窓》〔1916年〕City of Detroit Purchase

 

本展の見どころを、監修者の成城大学名誉教授・千足伸行さんにうかがいました。

「今回は展示作品1点1点のレベルが極めて高く、52点がすべて見どころといっていいでしょう。中でも大西洋を渡った最初のゴッホとマティスの作品にご注目ください。ゴッホの『自画像』は、パリに出て印象派に出会い、明るい色彩を使うようになった頃の作品です。貧しくてモデルを雇うお金もなく自画像を描くしかなかったのですが、そこには、つねに自分自身のアイデンティティを探し求めていた心情が見て取れます。
一方、マティスの『窓』は、印象派の影響を受けつつ印象派にはない装飾性、構図など全体的な印象を大切にしたマティスの、いかにもフランス人らしい洒落っ気のある作品です。また、ルノワールが描いた裸婦の柔らかな線、モネの特徴である花の明るい色彩と細かな描写など、本展を見れば印象派とはどんなものかを知ることができます。どうぞじっくりとご鑑賞ください」

展示される52点中、15点が日本初上陸となる貴重な大型展覧会です。ぜひお見逃しなく。

デトロイト美術館展 ~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~

会場/豊田市美術館(愛知県豊田市)
会期/2016年4月27日(水)~6月26日(日)
住所/愛知県豊田市小坂本町8-5-1
電話番号/0565-34-6610
料金/一般1400(1200)円 大高生1000(800)円 ( )内は前売及び20名以上の団体料金 ※中学生以下無料、豊田市内在住・在学の高校生及び障がい者手帳所持者、市内の75歳以上は無料(要証明)
開館時間/10時から17時30分まで、5月13日・20日・27日及び6月中の金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日/月曜(ただし5月2日は開館)
アクセス/名鉄豊田市駅または愛知環状線豊田駅より徒歩約15分
展覧会公式サイトはこちら
豊田市美術館公式サイトはこちら

 

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