インバウンド効果で、あらゆる場所で外国人と遭遇するようになった昨今。英語でのコミュニケーションに苦手意識を持つ日本人は、簡単な英語の質問でもパニックになりがちです。でも、ほとんどは中学で学んだ英語で対応可能であると知れば、気も楽になりませんか。
在日35年余で英会話学校を営むデイビッド・セインさん、英語教育関連の著作に携わってきた廣岡アテナさんによる最新の共著『外国人によくたずねられることはぜんぶ中学英語で答えられる!』(主婦の友社)では、外国人観光客からよく聞かれる質問とそれに対する回答例が、中学英語レベルのフレーズでまとめられています。久しぶりに英語に触れるという人も、「こういう言い方あったな」と思い出すことができ、大人のやり直し英語にも最適な一冊です。
今回は、「外国人とのコミュニケーションで覚えておきたいポイント」についてご紹介します。難しく考えず、ほんの少し勇気を出して対応すれば、日本を訪れた外国人観光客はますます日本ファンになってくれるかもしれませんよ。
文/デイビッド・セイン、廣岡アテナ
外国人とのコミュニケーションで覚えておきたいポイント
話しかけられても逃げないで!
完璧な英語じゃなくてもOK
インバウンドの増加で、観光地で外国人を見かけることは珍しくなくなりました。ただ、実際に話しかけられると、「英語を完璧に話さなくては!」「失礼なことを言ったらどうしよう」と消極的になってしまうあまり、逃げたり避けたりする人も見られますが、そんな完璧な英語は観光客も求めていません。身振り手振りでもいいので、最低限のことを教えてもらいたいだけなのです。
やりとりは中学英語で十分
話しかけられたときはまずは落ち着いて、相手の言うことを聞きましょう。観光客がそんなにむずかしいことを聞くはずもないので、聞き取りも回答も中学英語で十分だと思われます。相手も英語ネイティブではない可能性があるので、こちらからもなるべく簡単な英語で返すと伝わりやすいでしょう。ジェスチャーでも伝わることがありますが、海外と日本でジェスチャーの意味が異なる場合があるので注意を。たとえば、No, no. と顔の前で手を振るジェスチャーは「臭い」のようにも捉えられたり、「おいで」と招くジェスチャーは国によっては「しっしっ」と追い払う意味になったりします。
まずはこれだけ! 中学英語でコミュニケーション1
*聞きとれなかったとき
Sorry, I didn’t catch that. (すみません、聞きとれませんでした)
Could you please repeat that? (もう一度言っていただけますか?)
Please speak slowly. (ゆっくり話してください)
*話し終えて別れ際に
Have a good day! (よい1日を!)
See you around! (じゃあね!)
Take care! (気をつけて!)
やっぱり笑顔がいちばんのおもてなし
質問されたら笑顔で返す
質問されたときは、まずは笑顔で! 旅先で人を呼び止めるということは、相手は道に迷っているなど何か困った状況にいる可能性が高いでしょう。笑顔で対応することで、相手に安心感を与えることができます。不安なときに慣れない土地で親切にしてもらった経験は一生の思い出になるかもしれませんし、その国への印象がぐっと上がることにも結びつきます。
話しかけられたときのひと言
相手が声をかけてくるときのひと言は、おそらく Excuse me. (すみません)や、Hi.(こんにちは)などが多いと思われます。それへの返しとしては、たとえば Sure, what can I do for you? (ええ、どうされましたか?)や、Hello, what can I help you with?(こんにちは、何かお困りですか?)などと答えられると好感度アップ。すぐにこういったフレーズが出てこなければ、笑顔で Sure. や Hello. と言うだけでも、相手の緊張はほぐれるでしょう。
とっさに答えが出ないときは、長時間だまっていると相手が不安になるので、たとえば以下のようなつなぎ言葉で時間を稼ぎながら言葉を探したり、それでも答えが出てこないときは翻訳アプリに頼ったりしてもいいですね。
まずはこれだけ! 中学英語でコミュニケーション2
*とっさに言葉が出ないときのつなぎ表現
Let me see. (そうですね)
That’s a good question.(いい質問ですね)
I need a moment to think. (ちょっと考えてみますね)
How can I say? (なんて言ったらいいかな)
Well… (ええと……)
I see. (なるほど)
* * *
外国人によくたずねられることはぜんぶ中学英語で答えられる!
共著/デイビッド・セイン、廣岡アテナ
主婦の友社 1,540円
デイビッド・セイン
(株)エートゥーゼットイングリッシュ、AtoZ英語学校代表。
アメリカ出身。約35年前に来日し、翻訳、通訳、英会話学校経営など、多岐にわたって活躍。英語関連の出版物の企画・編集・制作を手がける豊富な英語教育経験を生かし、数多くの英語関係書籍を執筆。ベストセラーも多数。近著に『58パターンで1200フレーズペラペラ英会話』(主婦の友社)、『10年ぶりの英語なのに話せた! あてはめて使うだけ 英語の超万能フレーズ78』(アスコム)など。
廣岡アテナ(ひろおか・アテナ)
高校卒業後渡米し、オハイオ州ライオグランデ大学英文学部を卒業。帰国後は英語教育関連の著作に携わる。エートゥーゼットイングリッシュ所属。共著に『英語でブログを書いてみよう』(技術評論社)、『心に響く英語名言集 世界の女性編』(Jリサーチ出版)などがある。