大切に扱えば生涯、時を刻み続ける機械式腕時計ゆえ、手に入れるなら長年信頼されてきた老舗での購入をすすめたい。技術と知識に裏打ちされたふたつの名店で話を聞いた。
タケカワ本店(栃木県宇都宮市)

地域で信頼を集めて100余年。保守管理の方法を熟知するスタッフが揃う
東武宇都宮駅前のアーケード商店街、オリオン通りに5店舗を構える『タケカワ』は、1915年(大正4)創業の老舗時計店である。海外ブランドの腕時計のほか、セイコー、シチズン、G-SHOCK、オリエントスターなど国産のブランドの品揃えが充実している。なかでも力を入れているのはグランドセイコー。ほぼすべての製品を扱う“グランドセイコー ブティック”に認定されている。

自ら店頭にも立つ社長の竹川哲夫さんはこう話す。
「近年、グランドセイコーは幅広い年齢層に支持されるようになりました。若い世代からは結納返しの記念品として人気ですし、昇進した記念や退職の記念に購入される方も多くいらっしゃいます。やがては息子や孫に受け継がせたいという想いで選ばれることが多いですね」
2011年の東日本大震災後、日本の優れた産業を支援したいという機運が高まり、国産腕時計を見直す動きが高まったとも。
「国産腕時計の魅力は、日本人の体形に合わせた作りが多く、肌なじみがよい点が挙げられます。また、日本は腕時計の部品を一から製造できる世界でも珍しい国ですから、国産ならではの安心感や品質にこだわる方にも選ばれています。ザ・シチズンやカンパノラ、オリエントスターなどの高価格帯の国産腕時計は、記念日に合わせて買い求めるお客様が多いです」
デジタル時計もG-SHOCKを発売直後から扱っている縁で、取り扱い点数では現在も国内有数の規模を誇る。1万円台の定番モデルから山形県で生産される30万円以上の高価格帯のモデルまで、他店では目にすることのない貴重なモデルを豊富に取り揃えている。
スタッフの高度な知識
ショーケースの中から気になるモデルを2〜3点選び、スタッフの助言を受け、実際に腕に着けて感触を確かめていくのが良い腕時計と出会うコツだという。『タケカワ』では、ほとんどのスタッフが時計修理技能士の一級をはじめ、技術資格を取得しているのが強みと、竹川さん。
「腕時計の扱い方からメンテナンス(保守管理)の方法を熟知するスタッフが揃っています。購入後もふらりとお立ち寄りいただき、メンテナンスの相談ができるような店を目指しています」
生涯の友ともなる機械式腕時計ゆえ、時計店とのつきあいも長く続く。確かな技術と知識に裏打ちされた店で買い求めたい。


タケカワ本店

栃木県宇都宮市江野町7-3
電話:028・633・2031
営業時間:10時〜19時
定休日:1月1日
交通:東武宇都宮駅北口より徒歩約1分
取材・文/山内貴範 撮影/藤田修平
※この記事は『サライ』本誌2024年6月号より転載しました。
