ドラマの中では寝ている間に即位した幼子の一条天皇(演・石塚陸翔)。(C)NHK

『光る君へ』第10回では第65代花山天皇に退位を強いた「寛和の変」が描かれた。藤原兼家ら一族に半ば騙される形になった花山天皇(演・本郷奏多)は、このとき19歳。前々帝の円融天皇(演・坂東巳之助)もこの時はいまだ存命していて、藤原一族の権力闘争に巻き込まれる形で代替わりが繰り返された。

寛和の変で即位した新帝(一条天皇/演・石塚陸翔)はこのとき、7歳(満年齢6歳)。幼帝の誕生は、ドラマ視聴者には一目瞭然だが、藤原兼家(演・段田安則)が新帝の外祖父として権勢を誇りたいという強い欲求を経てのものだった。

本来、皇族の中で有力な成年が即位すべき天皇位だが、藤原一族の権力闘争の中で、幼年の帝が即位するのは、一条帝の即位が初めてではない。第56代清和天皇は10代半ばに達していた兄の惟喬親王(これたかしんのう)がいたにもかかわらず、藤原良房を外祖父とする惟仁親王(これひと)が9歳(満8歳)で即位することになる。藤原良房はこの後、人臣で初の摂政に就任する。ちなみに良房の兄弟の子孫が、『光る君へ』で登場する藤原為時(演・岸谷五朗)らの先祖になる。

良房の養子となった藤原基経は、清和天皇の女御だった実妹高子が貞明親王を生んだことで、清和天皇を譲位させ、9歳の親王を即位させる(陽成天皇)。新帝の叔父である藤原基経はこれで摂政に任ぜられることになる。

生後7か月の天皇という政治混乱。次ページに続きます

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