正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれません。

Google 先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。

「脳トレ漢字」第142回は、「お天道様」をご紹介します。最近ではめっきり使う機会がなくなってしまいましたが、時代劇などで耳にすることもあるのではないでしょうか? 実際に読み書きなどをして、漢字への造詣を深めてみてください。

「お天道様」は何とよむ?

「お天道様」の読み方をご存知でしょうか? 「おてんとさま」と読まれがちですが……

正解は……
「おてんとうさま」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「太陽を敬い親しんでいう語」と説明されています。「おてんとうさま」という本来の読みが変化して、「おてんとさま」と言われるようになったのだとか。太古の昔から人々は、天地をつかさどり、全てを支配することができる、超自然的な存在がいると信じていました。その最たる例が、太陽神です。

世界中の神話に登場する太陽神。日本神話では、岩戸隠れの伝説で良く知られている「天照大神」がいますね。農耕を営みながら生活していた古代の人々にとって、豊穣をもたらす太陽は、天地をつかさどる自然神として崇拝する対象だったのです。

また、曇りの日が続くと何だか調子が出ないということはよくありますね。太陽は、私たち人間に活力を与える、なくてはならない自然の恵みであると言えるでしょう。

「お天道様」の漢字の由来は?

「お天道様」を構成している「天」という漢字は、人を正面から見た形を表す「大」という漢字に大きな頭をつけたものです。体の一番高いところに位置する頭を表す「天」は、天空という言葉にもある通り、空を意味する漢字として使われるようになりました。

「天の神」のことを意味する「天道」ですが、多くが太陽のことを指します。空に高く昇っている太陽、つまり神様の前ではどのような善行も悪行もお見通しであるという意味で、「お天道様が見ている」という言い回しが使われてきたのです。

六道の一つ、「天道」について

皆さまは、「六道輪廻」という言葉をご存知でしょうか。仏教の世界では、人は死後、それぞれの業の結果によって異なる六つの世界に生まれ変わると考えられてきました。それが、天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道の六道です。

人間道は私たちが生きる世界、地獄道や餓鬼道などは苦しみの多い世界であるとイメージできますね。では、天道とはどのような世界でしょうか? 何となく、仏様がいる極楽浄土をイメージしてしまいますが、実はそうではないのです。

天道とは、生前に善行を積んだ者が住む、六道の中で一番楽しみが多い世界のこと。しかし、全く苦悩がないというわけではありません。天道に生きる者は人間よりも寿命が長いですが、やがて「天人五衰」という、地獄の苦しみ以上の苦悩が訪れるとされています。そのため、極楽浄土とは違って、永遠にいられる世界ではないのです。

***

いかがでしたか? 今回の「お天道様」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 柔らかい日差しが心地よい季節。外出の際にはぜひ、お天道様を仰いでみてください。

文/とよだまほ(京都メディアライン)

HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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