最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。

「脳トレ漢字」第145回は、「長閑」をご紹介します。俳句では春の季語にもなっている「長閑」。穏やかな風景や天候を表す言葉になっています。この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。

「長閑」は何とよむ?

「長閑」の読み方をご存知でしょうか? 「ちょうかん」ではなく……

正解は……
「のどか」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「静かでのんびりとして落ち着いているさま」「空が晴れて、天候が穏やかなさま」と説明されています。「長閑な春の日」や「長閑な田園風景」などのように、主に穏やかな風景や天候を表す言葉として使われることが多いです。

しかし、「長閑」は、人の性質や動作がゆったりと落ち着いている様子を表すこともあるため、「長閑な人」などのように使うこともできます。

穏やか・うららかという意味を持つ「長閑」。暖かい日差しに包まれているような春の雰囲気を表す季語として、時候の挨拶などに使われることが多くなっています。

また、語源としては、「和気(ノドケ)」・「伸遠肖気(ノビトホヤカ)」・「延遠方(ノビトホカタ)」・「和日(ナコカ)」・「伸延不留(ノトヲカ)」という、五つの言葉が考えられています。

「ノドケ」や「ノトヲカ」は、「長閑」の発音に少し似ていますね。

「長閑」の漢字の由来は?

では、「長閑」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「長」は、ゆったりしている・余裕があるという様子を、「閑」は落ち着いている様子を意味します。

「閑か」と書くと「しずか」と読めますね。また、「閑」は「ひま」と読むことができます。このように、「閑」という漢字には、「静か」「暇」という意味も含まれるため、閑な状態が長く続くという意味として、「長閑」という漢字が当てられたと考えることができます。

時候の挨拶に使われる春の季語

時候の挨拶として使われる春の季語は、「長閑」のほかにも複数あります。例えば、「麗らか(うららか)」という言葉。明るい日の光が穏やかに降り注ぐ様子を指している言葉ですが、春らしい和やかな響きが特徴的です。

また、様々な草花が芽生える季節という意味として、「木の芽時(このめどき)」という言葉が使われることもあります。厳しい寒さも過ぎ去り、思わず外を散歩したくなるような季節。心なしか、穏やかで優しい響きを持つ言葉が多いように感じられますね。

***

いかがでしたか? 今回の「長閑」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 穏やかな気温で過ごしやすい日が続き、名実ともに春を実感できる季節になりましたね。

毎日せわしなく過ごしているという方も、たまには時間を忘れて、長閑な春の日にお出かけしてみてはいかがでしょうか?

文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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