正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれません。
Google 先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第150回は、「香具師」をご紹介します。縁日や祭礼などでよく見かける香具師。実は、江戸時代頃から続いているのです。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「香具師」とは何とよむ?
「香具師」の読み方をご存知でしょうか? 「かぐし」と読んでしまいそうですが……
正解は……
「やし」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「盛り場・縁日・祭礼などに露店を出して商売したり、見世物などの興行をしたりする人」「露天商の場所割りをし、世話をする人」と説明されています。香具師は、露天商の一種です。江戸時代中頃に京都や大坂、江戸の香具師たちが職法の式目を改定しており、その頃には既に存在していたと考えられています。
現在でも、お祭りの際には様々な屋台が出て、賑わいを見せますね。このような屋台の前身は、江戸時代頃には既にできていたそうです。縁日や祭礼など、人が多く集まる場所で商売をするという点では共通していますが、現在の屋台とは少し様相が異なっています。
「香具師」の漢字の由来は?
香具師という漢字の由来には諸説あります。一つは、お香などの香具(こうぐ)を売る者の総称として、使われるようになったという説です。香具売りは、江戸時代初めには実際にいたそうですが、それがなぜ香具師(やし)と呼ばれるようになったかについては、よくわかっていません。
また、香具師は「弥四」と書かれることもあったそうで、その昔、弥四郎という者が初めて売薬行為をしたからという説があります。
謎多き職業、「香具師」
先述の通り、香具師は江戸時代には既に存在しています。当時の香具師は、主に薬を取り扱っていました。薬の代表的なものは、歯の治療の際によく使われたもので、ほかにもタバコや白粉(おしろい)などを売っていたそうです。
そして、商品を売りつけるために、居合(いあい)抜きや曲芸などの見世物を演じていたとされています。江戸時代には一時取り締まりが強化されるも、その後も香具師の風習は続いていきました。大正時代には、香具師同士の生活保護策が講じられます。また、香具師の世界は厳しい縦社会で統制されていたそうです。
大正時代以降は、縁日で子どもに飴や風船を売る小店なども増加し、現在の屋台に近いものが登場していたと考えられます。
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いかがでしたか? 今回の「香具師」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 江戸時代頃には既に存在していたとされ、少しずつ変化しながらも、現在に至るまで続いている職業の一つです。
お祭りで屋台を見つけた際には、「香具師」の漢字や歴史について思い出してみてくださいね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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