円谷作品はどのような時代背景から生まれ、今に息づいているのか。円谷の故郷の関連施設を訪ねた。
現場で使用された資料の保管と技術の継承
須賀川特撮アーカイブセンター
円谷英二の故郷、福島県須賀川市にはもう一か所ゆかりの施設がある(参照:https://serai.jp/hobby/1133507)。「須賀川特撮アーカイブセンター」だ。数多くの特撮作品で製作された資料の収集、保存、修復、調査研究を目的としている。
撮影が終われば使われた模型やセットは処分されたり、行方不明になることも多い。そんな特撮技術者たちの魂がこもった資料の数々を「認定NPO法人アニメ特撮アーカイブ機構」とともに収集し、特撮の文化を後世に伝える役目を持つ。さらに、特撮の技法を体験できる撮影ワークショップを開催するなど、技術の普及や継承にも力を入れている。
建物1階の巨大な収蔵庫を中心に、1000点以上の資料が保管されている。模型などは保存のため空調や照明などが管理された庫内に並べられ、ガラス越しにその姿を見ることができる。
2階には、須賀川市をモデルに作られたミニチュアセットが設置されている。家の軒先には束ねられた古新聞が置かれるなど、細かな生活感までもが作り込まれている。「特撮は細部に宿る」のだ。ここは、来館者が怪獣の気分になりミニチュアとともに撮影できる人気のスポットだ。
須賀川特撮アーカイブセンター
福島県須賀川市柱田字中地前22
電話:0248・94・5200
開館時間:9時~17時
休館日:火曜、年末年始
入館料:無料
交通:JR須賀川駅よりタクシーで約20分、「円谷英二ミュージアム」(tette)よりタクシーで約20分
※この記事は『サライ』2023年7月号より転載しました。