円谷作品はどのような時代背景から生まれ、今に息づいているのか。円谷の故郷の関連施設を訪ねた。
資料やジオラマから作品の背景を識る
円谷英二ミュージアム|円谷英二の生涯と作品に触れる
特撮の神様──円谷英二の出身地、福島県須賀川市を訪ねた。須賀川は平成25年(2013)、ウルトラマンの故郷「M78星雲 光の国」と「姉妹都市提携」を結び話題になった。
JR須賀川駅からメインストリートの松明通りを20分ほど歩くと、ウルトラヒーローと怪獣のモニュメントが道路沿いに次々に登場し、「テッテ tette」(須賀川市民交流センター)に到着する。センターの5階に「円谷英二ミュージアム」がある。このミュージアムは、円谷の偉業を顕彰し後世に伝えるため、平成31年1月に開館した。
円谷作品誕生の背景を識る
館内には円谷英二の68年の生涯が時系列でパネルに展示され、特撮の歴史を切り拓いたことがよくわかる。「空想アトリエ」のコーナーでは「生物学」や「機械学」などのテーマ別に、怪獣や乗り物などの模型が展示される。「モスラ」の模型のそばには蛾の実物標本が陳列され、空想とリアルの狭間を行き来しながら、円谷の思考の一端に触れることができる。
円谷英二が多くの作品を撮影した東宝撮影所のミニチュア・ジオラマが見事だ。ジオラマの特大プールでは海戦のシーンを撮影する特撮の現場の様子が生き生きと再現され、それを見守る円谷の姿も見える。ジオラマの背景の雲は、この分野の巨匠である島倉二千六さんが、ミュージアムの開館に合わせて新たに描いたものだ。ジオラマの裏に回ると、再現された撮影用大道具の倉庫が細密に作り込まれていることに驚く。
円谷英二ミュージアム
福島県須賀川市中町4-1 須賀川市民交流センター「tette」5階
電話:0248・73・4407
開館時間:9時~17時
休館日:火曜、年末年始
入館料:無料
交通:JR須賀川駅より徒歩約20分
メインストリートでヒーローに出会う
JR須賀川駅から円谷英二ミュージアム方面へ伸びる松明通りには、ウルトラマンシリーズに登場したヒーローと怪獣のモニュメントが、通りを挟みながら13体設置される。それらを写真に収めるのも一興、一緒に記念撮影も楽しい。13体に加えて「ウルトラの父」が須賀川市役所前に立つ。写真は「ウルトラセブン」。
※この記事は『サライ』2023年7月号より転載しました。